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宇宙人はいるけどいない話

アース

通訳・翻訳者リレーブログ

以前、皆既日食が好きだ〜というお話をしましたけれども、太陽だけでなく、他の星々を見るのもわたしは大好きです。

そのように言うと、よく「UFOを見たことありますか?」とか「宇宙人はいると思いますか?」とか聞かれます。『地球人だって宇宙人じゃん』という、わたしの心の声(揚げ足取りともいう)はおくとして、まあ普通は「地球以外の星に生命体はいると思うか」とか、「地球以外の星から生命体が来ていると思うか」とか、そういう意味で聞いているのだろうと思います。

星好きということがわかると、たいてい「ロマンチックですね〜」とも言われます。でも正直、わたしも、天文関係の仕事をしているオットのあきらくんも、自分たちが浪漫ちっくな人間であるとは、まったく思っていません。思考のスケールが(大きいどころか)ぶっとんでいる可能性はありますが、むしろ非常に現実的です。

したがって、わたしの答えはこうです。「宇宙人はたぶんいる(いた)だろうけど、いま地球に来ているとは思えない」。

なぜか。

まず、「いま地球に来ているとは思えない」理由が3つあります。1つは、「宇宙の歴史が長すぎるから」。

宇宙の始まりとされるビッグバンから138億年。この途方もなく広い宇宙の中で、仮に地球以外に高度な文明がある(あった)としても、「いままさに」宇宙旅行の能力を持っているとは限りません。高度な技術力があっても、宇宙に興味が向かっていない可能性もあります。

諸説ありますが、地球が誕生したのが46億年前、生命の萌芽は38億年前。それからずっと下って、人類が誕生したのが500〜800万年前、そして人類が初めて、たかだか30万キロ先の月に到達し、たった1泊2日(?)で帰ってきたのが、わずか45年前。

とすると、「ほんの」1億年前に高度な文明を発達させ、何万年ものあいだ宇宙を飛び回っていたが、じきに衰退した…というような生命体があったとしても、人類の宇宙時代とはかすりもしません。

そう。ほんの数千年ずれただけで、彼らがどんなに高度な宇宙旅行の能力を持っていたとしても、会うことはかないません。ああ、君の名は(古い?)。

2つめは、「宇宙は広すぎるから」。生命体が誕生するには、太陽(自ら燃える「恒星」)と、その周りを回る惑星が必要ですが、わたしたちの太陽から最も近い、お隣の恒星までの距離ですら、4.2光年あります。

これって、人類の作ったものの中で、いま最も遠く(2013年に太陽系を離脱)まで行っている無人宇宙探査機ボイジャーでも、7万5,000年かかる距離なんです(時速約6万kmで換算)。仮にものすごく技術の進んだ文明があったとして、この100倍の速度が出る宇宙船を持っていたとしても、750年かかります。

お隣さんに行くだけで、この時間です。でもお隣さんが空き家(生命体がいない)である可能性は低くありませんので、現実にはさらに遠くの星に行かねばならないでしょう。はっきりいってムリ、と思います。

earth51.jpgM42(オリオン大星雲)。太陽系からの距離は1600光年なので、ボイジャーで2,900万年かかります。

earth52.jpgNGC253(ちょうこくしつ座銀河)。太陽系からの距離は1100万光年なので、ボイジャーで2,000億年かかります。

そして。

「地球に来てるなら、あいさつするでしょ」というのが、3つめの理由です。

上記に書いたようなものすごい苦難を乗り越えて、なんとか地球にたどり着いた宇宙人がいるとして…なぜコソコソ隠れなければならないのでしょう。そこまでの技術力を持った宇宙人が、地球人を恐れなければならない理由はまったくないように思えます。征服するつもりなら、もうとっくにしているでしょう。

仮に、彼我の技術力の差があまりに大きいからと観察だけにとどめたり(人間が蟻を見る感じ?)、まさにこれから征服するつもりなのだとしても、捕獲されて解剖されたり、両腕をつかまれた写真を撮られたり、地球人を誘拐した形跡を残すようなマヌケなことはしないんじゃないの、と思います。

以上3つの理由から、宇宙人がいたとしても、いま地球に来ているとは考えられない、というわけです。

それでも「宇宙人はたぶんいる(いた)」と思う理由は、上記2つめの「宇宙の途方もない広さ」。宇宙には、いったい幾つの星(太陽と同じように、自ら燃えている星)があるかというと、これがまた途方もない。

宇宙には1000億個の銀河があり、われわれの銀河系だけで2000億個の星があると言われているので、単純計算で宇宙全体で 2000億 × 1000億 の恒星があるわけです。

このうちすべてに惑星があるわけではありませんが、その中のほんの一部でも、ものスゴイ数になります。ならば、宇宙全体で地球だけに生命が誕生した…というのは、むしろ不自然なように思います。(ここで宗教論争をするつもりはありませんので、これは単にわたしの個人的な考えとして受け取っていただければ幸いです)

したがって宇宙全体で見れば、宇宙人はむしろ「うじゃうじゃ」いるのではないか、とわたしなどは想像しています。ただ遠すぎて、あるいは時代が違いすぎて、会えない、お話できないだけ。残念です。非常に。

最初に言ったように、非常に現実的な考えを持つわたしですが、一方で「ある日突然宇宙船がうちの庭に下りて、どこかの星へ連れて行ってくれないかなあ」と強く夢想(妄想)する部分もあります。

ドラマの「スタートレック」にあるように、ワープ技術を開発して、宇宙を縦横無尽に飛び回っている文明があり、人口密集地域ならぬ生命体密集星域があり、そこでは頻繁に交流が行われている……と、強く信じたいです。

宇宙船でどこかに連れて行ってくれるのなら、二度と地球に帰れなくても構いません。その機会を絶対に逃したくないので、翻訳会社の皆様、地球外生命体の方々からそういうオファーがありましたら(ないって)、翻訳中の案件をほったらかして、いそいそと出かけてしまうと思います。先に謝っておきます。本当に申し訳ございません。(だからないって)

earth53.jpg※空の下の方に見えるのは雲ではなく「天の川」です(正確には、われわれの銀河を内側から眺めたところ)です。

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記事を書いた人

アース

金沢在住の翻訳者(数年前にド田舎から脱出)。外国留学・在留経験ナシ。何でも楽しめる性格で、特に生き物と地球と宇宙が大好き。でも翻訳分野はなぜか金融・ビジネス(英語・西語)。宇宙旅行の資金を貯めるため、仕事の効率化(と単価アップ?!)を模索中。

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