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挫折していたエンジン換装に再着手

いぬ

通訳・翻訳者リレーブログ

メジャーなところではムスタングでもいいし、最終型のスピットファイアでもいい。マニアックなところでは、シーフューリーでもいい。1940年代後半、第二次世界大戦の終盤から終了直後あたりに登場した、極限まで発達したプロペラ戦闘機を思い浮かべてもらいたい。ああいった戦闘機は、例えばイギリスのミーティアなどの黎明期のジェット戦闘機と、実力的に拮抗していたそうだ。

英語を使って勝負している自分のことを、たまにこういうプロペラ戦闘機に例えてみることがある。技術の積み重ねもあるし、実戦経験も積んだ。そうそう撃墜されない自信もあるし、逆襲することだって状況によっては可能かもしれない。そう思う。

しかしやはり、旧式なのだ。基本的には大学受験までの英語力をベースにしているわけで、英語の処理速度の限界値も、大学時代と根本的な違いはないのではないかと思ってしまう。もちろん数字的には伸びているけど、マイナーチェンジ。

時代はジェット戦闘機なのだ。今まで培ってきたものを使って、圧倒的なインプットをして、そこから今までとは一線を画した実力をつけねばならない、と思う。

次から次へと敵機(仕事)が現れる中、新型機の開発よりも現行機の改良で何とか今まで乗り切ってきたが、やはりジリ貧の感は否めない。思い切って英語をオーバーホールし、新しい理論にのっとって、一からエンジンを組み上げてみようと思う。それが今年の目標だ。

今まで壁と感じていたものを、全て打破する。シャドウイングも、リスニングも、精読力も、速読力も、語彙も、そして総合力としての通訳・翻訳力も。もうこれ以上自分の乗機の力不足を感じながら戦いたくない。

・・・などと書いたのが、恥ずかしながら3年以上前です。結果的にこの時もくろんでいたエンジン換装には挫折しました。口に糊するための仕事に追われて、というのがその言いわけです。

それで、今はどうか。コックピットの風防の前方では、相変わらずプロペラがうなりをあげています。ミサイルも積んでみてはいるのですが、いまだ主な武装は機関砲。苦戦は相変わらずです。被撃墜も、3度ほど経験しました。その都度脱出して再出撃してはいますが・・・。しかし、それだけではありません。エンジン換装を目指した材料の研究から実際のエンジンの試作も平行して始まりました。

6月の頭ぐらいに、何ともしがたい閉塞感と言いますか、力不足を感じて以来、ずっとおざなりにしてきた基礎力強化のトレーニングをコツコツやり始めました。そこに先週、「痛くない注射針」の開発で有名な岡野工業株式会社の岡野雅行さんのご著書「人生は勉強より『世渡り力』だ!」を数時間で一気読みしまして、今までの自分の姿勢が「職人」としていかにふがいないものだったかをあらためて痛感しました。なんとしても今度こそは換装をするところまで行ってやろうと思っています。

岡野さんの言葉で、「なるほど」と思ったものを抜書きして、今回のブログを終わりたいと思います。

「しゃべるときは、10のものを100にも1000にも膨らませられなきゃダメだね。目の前にモノがあってさ、その説明をするんなら、10を10でもいいんだよ。相手は見りゃ分かるんだから。だけど、言葉は聞くそばから消えちゃうんだよ。10を額面通りに言ったんじゃ、1か2しか残っちゃいないよ」(pp. 76-77)

「自分の仕事は安売りしちゃダメなんだ。そのためには、人に出来ないことをやらなきゃな。誰でもできることなんてのは、相手の言い値でやるしかなくなるんだよ」(p.82)

「変わり者って言われるような人間じゃなきゃダメなんだ。変わってるから、人と違う発想が出来るんだし、人と違うものが作れるんだよ。優等生と言われて喜んでるようじゃ、先が知れてる。当たり前のことを、当たり前にしか出来ねえってのが優等生だもん」(p.89)

「人のために何かをしてあげたことがあるかい?(中略)なにも大袈裟なことをしろってわけじゃないんだ。(中略)自分が食った蕎麦が旨いなと思ったら、それを誰かに奢るだけだっていい。俺が旨いと思ったものを、あいつにも食わせてやりたいって気持ちが大事なんだよ」(p.93)

「人と出会うってことは何か意味があるんだよな。意味なく終わらせちまうのは、感性の問題だって気がする。感性を鈍らせちゃいけないよ」(p.121)

「一流のものはマネしようったってできないんだよ。逆にいえば、簡単にマネできてしまうものは一流じゃないってことなんだ」(p.138)

「三十数年前、難しくて誰もやりたがらなかった『ステンレスのライターケース』に挑戦、何度も失敗を繰り返した末に成功させた。当時は日本全体が好景気で、誰も難しいことに手を出さなかったのだ。その結果、ステンレスの電池ケースを深絞りでつくれる職人ということで依頼された。『人のやらないことをやる』というモットーが、ここでも生きている」(p.177)

「俺から仕事をとったら何も残んねぇよ。それは俺が一番よく分かってるんだ。仕事をやらなきゃ、俺には何の価値もないんだよ」(p.186)

「頑張ったら、それを評価してもらうために何だってするべきなんだ。(中略)誰かが認めてくれるまで待ってようじゃなくて、認めさせるために、人脈でも、コネでも、自分が持っている芸でも、何でも使えばいい。何でも使って自分をアピールするんだよ。」(p.194)

他にもいろいろな言葉があるのですが、キリがないので、このぐらいにしておきます。さて、今日の分のR&Dに取り掛かるとしますか。

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記事を書いた人

いぬ

幼少期より日本で過ごす。大学留年、通訳学校進級失敗の後、イギリス逃亡。彼の地で仕事と伴侶を得て帰国。現在、放送通訳者兼映像翻訳者兼大学講師として稼動中。いろんな意味で規格外の2児の父。

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