INTERPRETATION

代用手段を考える

柴原早苗

通訳者のたまごたちへ

 ここ数週間、家の中の模様替えや片づけが楽しくて、時間さえあればあれこれ整理しています。不用品を処分すると身も心も軽くなりますし、モノであふれかえっていた部屋に少しでも空間が見られるようになると、それだけで室内の空気循環が格段に改善されます。そこで今週は、少ないモノで生活する際にヒントとなる「代用手段の活用法」についてお話しましょう。

1.台所の食品ラップ

 前回のコラムで「歯磨きの予備は買わない」「いつか使うかもと思って溜め込まない」と書きました。実際、ストックをやめてみると空間がどんどん生まれてきます。そして無駄遣いしないよう心がけるようにもなってくるのです。たとえばわが家の場合、台所の食品ラップのストックはしていないので、その分「ラップをむやみに使わないようにしよう」と思うようになりました。レンジで食べ物を温めるときや、ほこりよけの際には大皿で代用することにしたのです。大皿は使用後に水でざっと洗うだけで大丈夫。ラップのプラスチックがゴミに出して焼却分解されるまで時間がかかることを考えると、大皿の方が地球にやさしいように思います。

2.アルミホイル

 ラップほど出番がないものの、やはりこちらも無駄遣いしてしまえばあっという間になくなってしまいますので、つい「ストックしなければ」と思いがちのアイテムです。かつて私は煮込み料理の落としぶたとしてアルミホイルを使っていましたが、最近はお鍋より一回り小さいお皿を使っています。このアイデアは青森で「森のイスキア」を主宰する佐藤初女(さとうはつめ)さんの著書で知った方法です。初女さんによれば、お皿で落としぶたをするとお皿の重みが適度に作用し、おいしい煮込み料理になるのだそうです。

3.スポーツ用シャツも外出着に

 マラソンを初めて今年で2年目。当初は手持ちのTシャツで練習していましたが、速乾性のシャツを新たに買って使うようになったため、手持ちのシャツを整理してみました。襟元や布地がなんとなくクタッとしてきたものは、思い切って処分。その代わり、新調したシャツで普段着にも使えそうなものはどんどん着ています。私はスカートもパンツもシャツもすべてクロゼットに吊るす収納をしているのですが、運動用シャツも畳んで引き出しに入れるのではなく吊るしてみたところ、取り出しやすくなりました。最近はオシャレな運動着がどんどん増えていますので、日ごろスポーツをする人は外出用に活用するのも一案です。

4.洗剤をあれこれ揃えない

 スーパーに行ってみると、洗濯洗剤のほか、セーター用洗剤、靴用洗剤など、洗剤や掃除グッズも実にたくさん売られています。一見便利そうですが、スペース的に置ききれないというのであれば、一つのもので代用できるかどうか考えることが大切です。たとえば子どもの上履きを洗う際、わざわざ運動靴用の洗剤を買わなくても洗濯洗剤で十分きれいになります。

5.石鹸トレイはスポンジで

 洗面台の石鹸。以前は直に置いて使っていたのですが、水気ですぐにドロドロに溶けてしまったり、つるっと滑っておさまりが悪かったりと難儀していました。そこで必要となってきたのが石鹸トレイ。よく見かけるのはプラスチック製の水切りトレイ付きタイプですが、たまった水をいちいち捨てるのも結構面倒です。そこでオシャレなスポンジを買ってきて石鹸を載せるようにしてみました。水気はスポンジを通して下に落ちますし、適度な石鹸がスポンジにつきますので、毎朝そのスポンジで洗面台をざっと洗うようにしています。かつては洗面台を洗う際、手荒れ防止にゴム手袋をして家庭用洗剤を使っていたのですが、今では朝の洗顔時にそのスポンジで「ついで洗い」ができるようになりました。

 モノが少なくなると、手持ちのものでいかにして乗り切れるか考えるようになります。その考える作業もなかなか楽しいもの。スッキリした生活をしたいとお考えの方、参考になさってみてくださいね。

 (2010年6月28日)

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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