INTERPRETATION

第684回 ちょっと元気になるフレーズを

柴原早苗

通訳者のひよこたちへ

先日ラジオ番組を聞いていたときのこと。「新たな国民の祝日を制定するとしたら?」というテーマで話が進んでいました。リスナーからの意見で多かったのが「川の日」。「海の日と山の日があるのだから、川の日も作って」というのですね。なるほど、と思いました。とりわけ海なし県・埼玉に暮らす私にとって、荒川や利根川は大事な水源。となると「川の日」案は納得がいきます。

川の日であれ他の祝日であれ、私としては6月にひとつお休みが欲しいところ。何しろ1年の中で祝日ゼロの月だからです。しかもGW明けから気温は上昇、梅雨が到来してそれが明ければ真夏になります。となればなおのこと、消耗モードになりがちな6月にひとつぐらい祝日があった方が一息つけると思うのですよね。

ということで今週の本稿は、「お疲れマインドをUPさせてくれるフレーズ」のご紹介。最近私自身が出会ったことばたちです。

1 「今日一日幸せならそれで十分」 ― 落語「時蕎麦」より

過去や未来について悩むのではなく、一日の終わりに「ああ、今日も頑張ったな」と幸せを感じられれば、それで実は人生万々歳です。

2 「創造的な人生を送るのに、他人に許しを乞う必要はない」 - エリザベス・ギルバート

つい周りの目を気にしてしまう昨今の世の中。でも、他でもない自分の人生です。他者の価値観ではなく、自分らしく生きていきたいと思います。

3 「行動したもん勝ち」 ― 高田晃

「どうしよう?」と悩むぐらいならまずは動く。私自身、最近は「考えるな!動け!」と自分にエールを送ることがあります。

4 「人生の大半はつまらない。だからそのつまらない瞬間を幸せに過ごすことにある」 ― ハ・ワン

デフォルトで「楽しいはず」と思ってしまうと、その逆に直面した際に辛くなります。ならばデフォルトに期待をかけないでいた方が、むしろ良いのでしょうね。

5 「いまやる、すぐにやる、好きなようにやる」 ― 森永卓郎

「考えずにすぐ行動」という思いを私が抱くきっかけになったのが、このことば。特に「好きなようにやる」の部分に惹かれました。自分の人生なのです、好きなように動いて良いのですよね。

以上、今週はいつもと趣向を変えて、フレーズのご紹介をしてみました。書籍には私たちへのエールとなる文章がたくさん!ぜひみなさんも珠玉のことばを探してみてくださいね。

(2025年6月3日)

【今週の一冊】

「ウイスキーの教科書」橋口孝司著、新星出版社、2012年

先日のこと。アルコール業界の通訳を担当しました。かつて私はお酒を飲めていたのですが、年々弱くなり、最近はめっきり飲まなくなりました。とはいえ、お仕事として依頼された以上、勉強するしかありません。予習用に今回活用したのが、こちらの書籍。図書館で借りました。

私のように「基礎中の基礎」すらわからない場合、とにかく大事なのはとことん入門書から始めること。本書は「教科書」とのタイトルにある通り、初心者でもわかりやすく説明されています。オールカラーなので読みやすく、ウイスキーの作り方から産地まで出ています。

ウイスキーと言えば「スコッチ」とあるようにスコットランドが有名ですよね。でも、近年アイルランド産のアイリッシュウイスキーも人気急上昇中。かつてはアイルランドのウイスキーも沢山作られていたのですが、歴史に翻弄され、蒸留所は随分減ってしまった経緯があります。しかし、昔の作り方をしっかりと守り、蒸留所も新たに作られて今ではファンを魅了しています。

本書の中でも特に印象的だったのが、様々な形のボトル。瓶ではなく、陶器でできたボトルやイベントを記念して作られた容器もあります。このようなものはまさにレアアイテム。コレクターにとっても垂涎の的ですよね。

Written by

記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2024年米大統領選では大統領討論会、トランプ氏勝利宣言、ハリス氏敗北宣言、トランプ大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラム執筆にも従事。

END