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テンナイン翻訳部紹介:苦労した案件

ハイキャリア編集部

ハイキャリア20周年企画!テンナイン紹介

テンナインの翻訳コーディネーターを紹介する第2回。今回はコーディネーターが苦労した案件の一例をご紹介していきます。

翻訳に対応していく中で苦労することのひとつが用語統一です。翻訳する際、ひとつの単語や文節に対して訳語がいくつか考えられる場合があると思います。しかしながら、元の文章では同じ単語なのに、翻訳した文章では意味は同じでも異なる訳語が混ざってしまうと読むときに混乱してしまいます。それを防ぐために、翻訳者やチェッカーは同じ文書もしくは関連している文書の中ではある程度固定した訳語を使用しているのです。また、会社の中でこの単語はこの訳語にする、と決まっていることもあります。

ひとつの文書の中での用語統一でしたらそれほど難しいことはありません。しかしながら、文書の数が膨大になると途端に難しくなってしますのが用語統一です。あるお客様ではこれまでお客様からのご指名により1名の翻訳者が翻訳に対応していました。その為、訳文の用語統一が自然とできていたのです。しかし、人気のある翻訳者でもあったため、ある時ほかのお客様の依頼と重なってしまい、別の翻訳者が対応するという状況が発生しました。参考資料や用語集は共有していたのですが、やはり目視で全てを確認することはどうしても難しく、お客様からクレームをいただいてしまいました。これまで1名の翻訳者で対応していたため特に翻訳物にも用語統一にも問題がなかったのですが、改めて用語統一の大切さを痛感した出来事でした。

人による目視の確認では限界があると感じ、このお客様には翻訳支援ツールを導入することにしました。翻訳支援ツールとは、翻訳の際に決まった用語があればそれを提示してくれたり、過去に訳した似たような文章があれば教えてくれたりするツールのことです。この支援ツールを使用すれば用語統一はとてもやりやすくなります。ただし、過去にこの支援ツールを使用していない文書をまずは取り込んでいく必要がありますし、すでに訳してしまった部分の統一を図るというのも、とても手間がかかります。お客様にも翻訳物の確認に大変ご協力いただき、半年ほどかかってこれまでの全ての案件の用語統一を行いました。また、案件の管理方法なども一から見直し、今後、上記のようなことが起こらないよう対策をチーム内で検討も行いました。

たかが用語統一、されど用語統一。よい翻訳物を納品するためにはわずかな手間も惜しんではならないと改めて実感しました。

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ハイキャリア編集部

テンナイン・コミュニケーション編集部です。
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