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久々の「休暇」

いぬ

通訳・翻訳者リレーブログ

さて、今年も残すところ、360日余りとなりました。・・・すいません、いっぺんやってみたかったんです。この使い古されたボケ。

それはさておき、年末年始はいろいろとイベントがあって、充実した7日間になりました。

28日に書斎の書籍群との決戦を制した(?)後、29日には大掃除と手帳の移行などをこなし、午後には妻とスポーツクラブに行って、ボディー・パンプ45。正月を筋肉痛を抱えて過ごすのもイヤだし、ここ数ヶ月、どうも左の股関節がおかしいので、軽めのウエイトで調整程度にこなしてみました。その後、近所に2年ほど前に出来て、ずーっと行きたいと思っていたウイグル料理屋さんに2人で行ってみたのですが、これが大当たり。料理は美味しいし、ウイグル人(正確にはウイグル自治区出身の中国人ということになるのでしょうか?)のご夫婦も楽しい方でした。

インドの方や中東諸国の方を見ていても思うのですが、日本人から見ると本当に、アジア人と西洋人が絶妙に融合された顔立ちなんですよね。通訳の初仕事で、アジア大会で働いたときにも、グラデーションのように変化していく各国代表選手たちの顔立ちを見ながら、地球の広さを感じたものです。そんなこんなで、高校の頃にやった世界史の「シルクロード」あたりを思い出しながら、料理に舌鼓をうっていました。

店内には独特のスパイスの香りが漂っていて、BBCに勤務するために渡英した際、一番最初に済んだフラットでの生活を思い出しました。通勤に使うのはWest Actonという駅だったのですが、最寄り駅はNorth Ealingという駅で、この近くにインド料理屋さんがあったんです。その店内の香りに、今回言ったレストランの香りがどことなく似ていました。あそこは友人も連れて行ったし、妻とデートで行ったこともあったし、実に懐かしいです。ひょうきんなウエイターのおじさん、まだ元気かなあ。そういえば、駅前には中華料理のtakeawayもあって、自炊が面倒くさくなったときには、よく利用していました。

いやまあ、それはともかく、帰宅してあれこれやって、運動の疲れもありあっという間に就寝。

30日はいよいよ大掃除の本番。子ども達がいないので、ケンカの仲裁をする必要もないし、掃除中のところに踏み込まれて困ることもないし、大掛かりなことをやるには絶好のチャンスです。家中の窓ガラスを磨き、ファンの油汚れを落とし、ベランダや玄関に水を流してデッキブラシをかけ・・・といった力技を私がこなす間に、妻が細かな片づけを進めて行きます。最後に掃除機やらクイックルやらをかけて、終了。

夕方にスキー教室から帰った子供たちを迎えに行きました。たった3日間なのに、何だか2人ともすごく成長したような顔つきで、逞しいなあと思いましたよ。ただ、疲れすぎていたのか、2人とも夕食の前後からぐずり出し、せっかく感動の再会を満喫しようとしていた両親としては「ちぇっ」という気分でしたが。娘など、「スキーどうだった?」と尋ねても「覚えてない」という、余りと言えば余りなお言葉。お父さんとしては、右45度に体を傾けて畳に座り、袖を目に当てて「よよよ・・・」と泣きたい気分でしたよ。

すったもんだの末に2人が寝た後、「なかなか、親が可愛がりたいようには可愛がらせてくれないもんだねえ」と妻に言うと、妻も苦笑していました。どうせ目が冴えたのならと思い、借りてきた「うた魂」のDVDを見ました。合唱を中心とした青春コメディーといった作品で、肩がこらずに楽しめる一品でした。ああいうノリ、大好きなんですよね。

笑い声を上げる私をよそに、妻は着々と年賀状書きを進め、私が現実逃避していることをしっかり見破って、「書かなくていいの?」と、こちらに的確なジャブを放ってきます。うう。苦手だけれど、これも避けるわけにも行きますまい。結局夜中の3時過ぎまでかかって、2人で百数十枚を書き上げました(ほとんど妻が書いた分ですが)。

31日は、午前中は細々した雑用を仕上げた後、今宵の夜更かしに備えて子供たちをお昼寝させ、夕方から近所にある私の両親宅へ。久々に酔っ払い、紅白とK-1を断片的に拾い見しつつソファーでいぎたなくうたた寝。長男は昨年「年越し蕎麦」を食べ損なった(起こしても起きなかった)ことで大泣きしたのですが、今年こそはと燃えておりまして、結局、眠りこける父を横目に、両親と3人で年越し蕎麦の準備に大活躍だったそうです。一家6人そろって、「行く年来る年」を見ながら蕎麦をすすりましたが、久々に大晦日の醍醐味を満喫しました。

明けて1月1日。母のお手製のおせち料理をつまみながら、父と朝からおとそを飲んでほろ酔い気分になり、ちょっと酔いがさめた時点で近所の神社に初詣に行き、お札を受けて来ました。おみくじは、妻が大吉で、残り3人が中吉だったかな?私のは、「今までやってこられたのは、様々な方の引き立てがあったから。慢心せずしっかりとやりなさい」みたいなことが書いてあって、かなりギクッとしました。動揺していたのか、「おみくじは、こうして細長くしてこの紐に結ぶんだよ」と長男にやってみせている時、力余っておみくじを引きちぎってしまいました。罰が当たらないことを切に願います。

夕食の席では両親と私たち夫婦の間で「イヤー・ボール」とか「ドロップ・サークル」とかいう暗号が飛び交い、子供たちは無事予定通りのものをせしめて恵比須顔でした。

2日は妻の実家に一家で向かいます。電車を1回乗り継いで、2時間ほどの小旅行でしたが、以前と比べると楽になりました。車中で本が読めますからね。読んでいたのは森沢洋介さんの「英語上達完全マップ」。森沢さんとは、以前専門学校で教えていたときに、指導法に関して電話でご相談したことがあって、それ以来注目している方です。「瞬間英作文」シリーズも、大学の授業で教科書に指定したりして、活用させていただきました。

「英語上達・・・」は、同名のウェブページの内容とほぼ同じですが、一部更新されている所もあり、また指導法を俯瞰するという点では書籍に分があるので、非常に有意義なひと時でした。

きれいに晴れた空の下、妻の実家に到着。息子は早速おじいちゃんと、持ってきた木工工作セットを組み立て始めます。私はおばあちゃんとお話をしたり、本を読んだり、脚の痛みを少しでも和らげるべくストレッチをやったり。娘はテレビを見たりぬいぐるみで遊んだりしていい子にしています。

おばあちゃんは昼過ぎにサントリーホールのニューイヤーコンサートに出発していったのですが、私たちはおばあちゃん心づくしのお昼を食べ

がら、おじいちゃんと私とで酒盛り。

結局工作は夕方までかかって完成し、帰宅したおばあちゃんと夕食をとって帰途につきました。娘は程なく寝入ってしまったので、私は漬物石を一つ抱えて移動するような状態となり、実にアスレティックな帰り道となったのですが。

3日。子供たちを両親に預けて、妻と2人で与野の七福神めぐりに。地元なのにずっと縁がなかったのですが、なかなか楽しいひと時でした。途中、仮装パレードにも遭遇して、子供たちが大きくなったら、ぜひ参加させようと思いました。老舗の和菓子屋さんでお土産を買って帰宅。

午後はいったん家に帰って年賀状の迎撃を行なった後、私はDVDの返却に赤羽まで遠征。子供たちはお昼寝。4時からは両親宅でのパーティーに参加しました。父が参加している英会話サークルで知り合ったとのことで、日本語教師の外国人が4人いらっしゃるのです。ミャンマーから1人、ベトナムから1人、スリランカから2人で、一緒に百人一首をしたり、妻が弾くピアノに合わせてみんなで歌を歌ったり(最後に一人一人国歌を歌っていただきました)、実に楽しいひと時でした。

息子も干支の説明をしたり、小学校の校歌を歌ったり、百人一首でお姉さんたちと激戦を繰り広げたりと、エンジョイしたようです。娘もマスコットみたいに可愛がってもらっていました。ミャンマーの軍政の話やベトナム戦争の話、スリランカのジャフナ半島での紛争の話なども、いろいろ踏み込んだお話が聞けて有意義でしたね。

三が日もあけて、4日。今日は娘のパスポートを受領に行かなくてはなりません。子ども達が起きるまで、読書ノートを書き進め、何冊かは必要な情報だけ書き留めてブックオフ行きのダンボールに放り込みました。6冊、いや7冊ぐらい片付いたかな。のんびりと午前中を過ごして、スパゲッティーを作って食べてから出発。

大宮のパスポートセンターに行き、妻が買い物をしている間、私は子供たちとLoftやら書店やら屋上のペットショップやらを見て回ってのんびりしたひと時を過ごしました。最近のデパートの屋上っていうのは、遊び場所はないのでしょうか?私が子供の頃は、屋上と言うといろんな遊び道具があるワンダーランドだったのですが。まあ、犬好きの私としては、子犬たちが転げまわるのを見られて大満足でした。

また、書店で子ども達が本を読んでいる間、私のそばの書棚をチェックしてきましたが、「学習マンガ」「伝記」「図鑑」を大量に買い込んで、大学での教育に活用しようと思いました。子供だけに読ませておくのはもったいない。伝記の記述など、ルビがふってあるだけで、大人向けのものとほとんど変わらないのです。二宮金次郎の話など、思わず読みふけってしまい、子供たちを一瞬見失って焦りました。しかし、そう考えると小学校後半ぐらいからは内容的なものはさておき、形式的には大人と変わらないものを読んでいるんですね。今まで意識しなかったことを再発見しました。

帰宅して入浴。子供たちはLoftで買った「ヤッターマン」の入浴剤の中から「おだてブタ」が出てきたと大喜びでした。食事の後は、「おばあちゃんの家」のDVDを途中まで妻と娘と3人で見ました。息子は寝室で読書。

わがままな孫に何をされても、とにかくひたすら愛情を注ぐおばあちゃんの姿に、いろいろなことを思います。何よりも自分と祖母の関係について。そして自分と家族、自分と学生さんたちの関係について。

北風と太陽の例えもあるとおり、何があってもそばにいる人に暖かい光を注げるような存在でいたいものだなと思います。ともすれば、思い切り「北風」になってしまい、後になってから「物言えば唇寒し・・・」などとうなだれることも多いのですが。

4人で布団に入り、娘に「手ぶくろを買いに」を読んであげてから寝ました。

今年に入ってからの大学での仕事は、今月に何回かR大学の授業があるだけで、大学の成績を提出したら4月までは授業がないという絶好の充電期間になります。授業だけやっていればいい非常勤講師の強みですね。この間にやっておきたいことは・・・

・英語教育の方法論を記した本を一通り読み直し、教育のフォーマットを確立する
・様々な教材に目を通したり、見たり聴いたりして、扱う教材を絞り込む
・「時間があったら」読もうと思って塩漬けになっていた本を片っぱしから読み倒し、日常生活や授業にフィードバックする
・様々な英語の教材に取り組んで、すっかり錆び付いた自分の英語力を高める
・今年中にニュースの同時通訳に耐えうる通訳力を取り戻す
・同時通訳について、方法論的なものをまとめ、指導に生かす
・忙しさにかまけて、かなり鈍ってしまった体を鍛え直す
・日々の生活を律することを通して、きちんと目標をクリアする精神を養う

ということでしょうか。まあ、理想的な目標です。いきなり言い分けをすると、「なかなか実現できないからこその『理想』」ですからね。せめて目標だけは高くしようかな、と。その何割かでも達成できれば、もう獣です・・・無茶苦茶な変換ですね・・・儲けものですから。

ここ1週間ほど毎日8時間は寝ていたので、かなり気力が充実しています。もっとも、食っちゃ寝していたので、お腹の贅肉もだいぶ充実してしまいましたけれども。久々の「休暇」を満喫して、今年の仕事始めに向けて準備万端と言うところです。

今年一年、いろいろなことがあると思いますが、あまり「効率」とか「手順」とか「計画性」とか考えず(それが必要なことは重々わかっていますが)、体力と勢い任せにいろんなことをやり倒すという生き方が結果的に一番生産的に過ごせることが分かったので、何はともあれ健康第一です。元気にやって行こうと思っております。

かなり常識に欠けるといいますか、不惑目前にして、いまだに稚気が抜けない部分もあることも自覚はしております。深く考えずに失礼なことをしてしまうこともあるかとは思いますが、そういうことは出来る限り減らして行きたいです。

読者の皆さんもどうぞ実り多い一年をお過ごし下さい。

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記事を書いた人

いぬ

幼少期より日本で過ごす。大学留年、通訳学校進級失敗の後、イギリス逃亡。彼の地で仕事と伴侶を得て帰国。現在、放送通訳者兼映像翻訳者兼大学講師として稼動中。いろんな意味で規格外の2児の父。

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