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しょうゆ工場見学

いぬ

通訳・翻訳者リレーブログ

通訳という仕事にしても、教育という仕事にしても、非常に抽象的な行為なので、たまにど真ん中ストレートな「生産」系の場が恋しくなることがある。

大学の頃にやったバイトでは、うずたかく積んだ返品チョコレートの山を再生ミキサーにひたすら放り込んだり、印刷したてでまだ暖かい新聞を配ったりという肉体系の仕事の印象が非常に鮮烈だ。

コンクリート袋みたいな大袋に入ったズシリと重いチョコレートが次第に少なくなっていったり、自転車の前かごに積み上げた新聞(「ピラミッド」と呼んでいた)が次第に高さを減じて行ったりするのは、なかなかにやりがいを感じるものだったし、一日の仕事を終えた後は「働いた!」という爽快感を感じたものだった。

自分の努力の結果が目に見えるのが良い。実際に「これを作り上げた(もしくは片付けた)」というものが見えるのは、実に良い。

そんな気持ちが高じて、キッコーマンの工場見学に子供2人と出かけてきた。結論としては、やはりモノづくりの現場は見ていて面白いなと思う。出来れば何か参加してみたいものだ。もろみを入れた桶をかき回させてくれたら最高なのだが。人間には「生産欲」とでも言うものが備わっているのかな、とも思った。

以下メモより印象に残ったことを列挙。

・しょうゆの原料は大豆と小麦と塩
・大豆はアメリカ産、小麦はアメリカとカナダから。塩は聞き忘れた。日本の調味料も、輸入した原料で成り立っているのだな
・大豆を蒸して、小麦は炒って砕いて、種麹と混ぜる
・食塩水を入れて「もろみ」を作る
・絞って生しょうゆができる
・しばらく寝かせて、上澄みの大豆油と底に沈殿したかすを取り除き、中間部だけを火入れして出荷

・大豆はアミノ酸に分解され、うまみの元に
・小麦は甘みと香りの元に。(糖に分解され、それを酵母がアルコールにする)
・もろみは味噌のような香りがした。そのまま食べたら美味いのか?

・しょうゆは栓を開けなければ1年半は風味が変わらない
・栓を開けたら1ヶ月ぐらいで使い切るのが理想
・酸化すると色が黒ずんで来る
・開栓後は、出来るだけ冷蔵庫に保存する

見学前にはカフェでしょうゆをかけたうどんを子供たちと食べる。非常に美味。見学後にはせんべい焼き体験をしてみた。薄いせんべいを焼いて、味付けは単にしょうゆを塗るだけなのだが、それだけにしょうゆの味が決め手らしく、実に美味しかった。

その後しょうゆ味のソフトクリームを食べる。これは昨年英字新聞の記事になっていたので、もともと興味はあった。「えー、おしょうゆ味?」と言っていた娘が一番喜んでいた。スイカに塩をかけるようなもので、甘みが引き立って美味しい。ただ、やはり食後はちょっとのどが渇くような気がした。

しょうゆ羊羹をお土産に帰宅。英語表示もなかなか充実していたので、通訳翻訳課程の学生を連れてきても面白いかもしれない。

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記事を書いた人

いぬ

幼少期より日本で過ごす。大学留年、通訳学校進級失敗の後、イギリス逃亡。彼の地で仕事と伴侶を得て帰国。現在、放送通訳者兼映像翻訳者兼大学講師として稼動中。いろんな意味で規格外の2児の父。

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