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ディベート大会にジャッジで参加

いぬ

通訳・翻訳者リレーブログ

新学期が始まってからイレギュラーの仕事やら子供たちの学校や幼稚園の行事やらでなかなか「水平飛行」に移れずにいます。まあ、それもまた楽しい日々です。

金曜日には埼玉県の高校生英語ディベート大会に、ゲストジャッジとして参加してきました。ディベートには昔から興味があったのですが、本格的には取り組んだことがありません。今回の大会では事前に何度か生徒たちの練習会があり、ジャッジの練習も兼ねて見学したかったのですがどうしてもスケジュールが合わず、大会のウェブページでジャッジ方法を学んだだけという状態でこわごわ参加しました。

正直に言って「高校生だし、そんなに本格的にはやれないだろう」と思っていたのですが、ふたを開けてみると驚くほどの英語運用力でまくし立て、鋭い論理力で切り込んで行きます。ジャッジに慣れていないこともあり、こちらもほぼ全力を尽くしてジャッジすることになりました。

「成人の年齢を18歳に引き下げるかどうか」がテーマだったのですが、賛成側も否定側も十分に準備がしてあり、聞き応えのある攻防が展開されます。中でも面白いなと思ったのが、児童虐待問題と成人年齢の引き下げ賛成を絡めた主張と、多重債務や詐欺事件の問題と成人年齢引き下げ反対を絡めた主張でした。

大会の運営もスムーズで、急造ジャッジとしては仕事に専念できて本当に助かりました。先生方のご指導の賜物だったと思います。高英研のディベート部の先生方の、いろいろな意味での「熱気」を肌で感じた一日でした。私は運良く大会の主席ジャッジの先生とずっと一緒にジャッジ出来たので、ディベートそのものに対しても理解を深めることが出来ました。

自分の自身の授業では、通訳の様々なトレーニング方法を英語教育に生かしているのですが、ずっと気になりつつも横目で眺めるだけだった英語ディベートに関しても、何とかもう少し学んで英語教育に生かしたいとしみじみ思いました。7月頃から同じテーマでずっと練習しているので、生徒たちはかなり慣れてきているのだそうです。それにしても、用意してきた原稿を読むわけには行かない質疑応答や相手の主張へのオフェンス、相手からのオフェンスを踏まえた自分の主張のディフェンスなどの際の英語でのやり取りは見事の一言で、大学生でもここまでは出来ないだろうと思ったほどです。後ほど懇親会で聞いたところでは、実際、大学生のチームを負かしてしまうほどだとか。時間の関係もあり、具体的なトレーニングについてはほとんどお話が聞けないままでしたが、何としても近々お話を伺って、日々の授業に生かしたいものです。

極めて個人的な話で恐縮なのですが、父が長年高校での英語教育に携わっていて、懇親会で私がその息子だと分かったとたんに、先生方が何人も集まって下さったのには感動しました。父が校長だったときに高校生だった方が、教員としてディベートチームを率いて参加していらして、父のエピソードを話して下さいました。また、一緒に世界校長会議に出た先生からも、そのときの思い出をお聞きしました。翌日の夕食を両親宅で食べたのですが、父はビールを飲みつつ、私の話を懐かしそうに聞いていました。まあ、今ではすっかり孫たちの、良き「おじいちゃん」です。

大会にジャッジとして参加したALT2人も懇親会に参加していて、ビールを飲みつつおしゃべりしたのですが、考えてみたらこれほど英語を使ったのは実に久しぶりでした。いや、「受信」にはフル活用しているのですが、英語から日本語への放送通訳が多いので、英語で「発信」する機会はそれほどないのです。アルコールも手伝って、舌がまわることまわること。いろんなことを話して笑っていました。何と言うのでしょうか、英語が純粋に好きでたまらなかった頃の情熱を、少し思い出したような気分です。

以前読んだマンガに、スランプに陥った音楽家が、楽器を習いたてで演奏することが楽しくてたまらない子供の演奏を聞いて、自分の演奏を取り戻すというシーンがあったのですが、私も高校生たちの英語への情熱を、少し分けてもらえたのかもしれませんね。どうもこのところ自分の英語トレーニングが壁にあたっていて、ちょっとすね気味だったのですが、素直にチャレンジを続けねばと思いました。

さて、明けて土曜日は、娘の幼稚園の運動会です。毎年、会場の設営と撤収の係をやっていたのですが、今年はその係の「補欠」になったので仕事は何もなし。子供たちが入園してから始めて、ずっと家族と一緒に観戦出来ました。娘はラテン系というかオージー系というか、人生を極力エンジョイするタイプのようで、いつもニコニコと手を振っていました。たま入れで2回連続最下位になっても、「リス組さーん、3位!」というコールとともにジャンプして「イエーイ!」と歓声を上げているのが遠くからでも良く見えます。ダンスもまあ何というか、独自のリズム感で、先生に引っ付いたりお友達と笑いあったりしながら、楽しそうにやっていました。私はというと、先週の小学校の運動会に続いて綱引きに出場して2連勝。通算4連勝です・・・って、単にチーム分けの時のクジ運が良かっただけですが。

運動会が終わって、両親宅でしこたま飲み食いしてきたのですが、どうも寝付けず、先週5百円で買ってきた「頭上の敵機」という映画のDVDを見ていました。第二次世界大戦における、ドイツ空爆に参加したアメリカ軍の重爆撃機隊の話で、被害が多い部隊を立て直すべく着任した司令官が主人公です。戦争映画ではあるのですが、中心となるのは人間ドラマで、リーダーシップのありようをいろいろと考えてしまいましたね。ある意味で語学教師も同じような立場なものですから。もっとも飛行機オタクでもあるので、「うーむ、この映画のB-17は機首銃座がないなあ。G型の投入はもっと後なのか」とか「あ、実機で胴体着陸シーンを撮るなんて、なんて勿体無いことを」などとマニアックなことも考えていましたが。しかし、やはり空中戦のシーンは強烈だったようで、その晩の夢では迫り来るドイツ軍戦闘機に向かって、必死に機銃を撃つ羽目になりました。起きてグッタリ。納得の行かない目覚めです。

さて、今週もまた頑張るとしましょう。

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記事を書いた人

いぬ

幼少期より日本で過ごす。大学留年、通訳学校進級失敗の後、イギリス逃亡。彼の地で仕事と伴侶を得て帰国。現在、放送通訳者兼映像翻訳者兼大学講師として稼動中。いろんな意味で規格外の2児の父。

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