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時代は予約!

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 ある調査によると、電話番号を覚えられなくなったと考える人の割合は8割。その理由は「携帯のアドレス機能に頼りすぎるから」だとか。
 昔は固定電話でさえリダイアル機能などなかった。私が子どものころ、実家の電話脇には市販のアドレス帳があり、それを見ながら電話していたっけ。番号もゴロ合わせにして、「1885」などは「ひややっこ」といって記憶したものだ。
 ちなみにキャッチホンもなく、最長通話時間は20分。10分過ぎると母がこれ見よがしに私の近くへプレッシャーをかけにくる。一度それを無視して1時間しゃべっていたら、父がずぶぬれで帰宅した。駅からかけてもずっと話中で、仕方なく歩いてきたのだ、と。さすがに申し訳なく思ったのを覚えている。
 そんな時代から時はまたたく間に過ぎ、いまや何でも瞬時に手に入る時代。メールも即届くし、仕事用の資料も音楽のダウンロードも「今、すぐ」入手できるようになった。本当に便利。
 でもその一方で、「ただちに」手に入らないものもある。ズバリ、病院での診察だ。先日もそれで半日つぶれ、クタクタになった。
 事の発端は息子の充血。数日前から右目が赤く、周りにポツポツと点がある。蚊に刺されたようでもないし、かゆみもない。ただ、とびひだったら園の出席は停止。始まったばかりのプールにも入れない。それで近くの眼科へ行くことにした。
 ちょうど私の使い捨てコンタクトレンズもなくなってきたので、一緒に診てもらおうと眼科へ。一週間前にコンタクトだけの再注文に出かけたものの長蛇の列だったので、朝一番なら大丈夫だろうと思って早々に並ぶことにした。
 病院の前に立ったのが8時。診察開始時間は9時半なので、蒸し暑い中、親子ともども本を読みながら待つ。ようやく8時半になって最初の扉が開き、看護婦さんが小さな椅子を並べてくれた。でも待合室の扉は閉まったまま。聞けば9時開館なのだそうだ。ふー。
 やっと中に入り検査が始まり、診察を終えて会計が済んだのは10時半。実に2時間半もかかった。ちなみに検査や診察はわずか数分である。病院側としては悪気はもちろんないのだろうけれど、患者の立場にしてみればグッタリだ。
 これだけ物やサービスが瞬時に手に入る時代なのに、予約をとらない病院はまだまだある。ここもそうだった。地域住民をできる限り診察したいという病院の方針もあるのだろう。けれど、いつ終わるかもわからずうんざりするよりは、これからの時代、やはり予約制の方が精神的に良い。特にわが家のように仕事の合間を縫っての通院は、時間が読めないと大変。今後は予約制の病院をネットで探して、多少遠くてもそちらに行こうと思っている。

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かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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