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鏡返し!

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 「ごはんのあとは?」
 「はみがきー!」
 「そうだね。じゃ、自分で歯磨き粉つけて磨くのよ。そのあとお母さんが仕上げ磨きするからね」
 さ、子どもたちが自分で磨いている間にお皿洗いだ。一分でも自分でシャカシャカしてくれれば、その間、少しは洗い物もはかどる。
 しかし数分たっても台所に来ない。隣の部屋をのぞくと・・・だーっ!!二人ともハブラシはくわえたまま。5歳の息子は読書中、3歳の娘はお人形さん遊びだ。あ、口から垂れるでしょ!くわえたまま走ったら危ないよ!!・・・かくして今朝も小言が始まるのである。
 それにしてもどうしてこうなるのだろう?最初のお返事の段階では本人たちもちゃんと歯磨きをしようと考えていたに違いない。しかし歯磨き粉をハブラシにつける→口に入れる、の時点で安心してしまうのだろうか?ましてやそのまま誘惑だらけの居間に入るや、本や玩具などに気をとられてしまい、今度はそちらに頭が切り替わっていくのかもしれない。
 一度言ったことをどう最後までやり遂げさせるかが子育てにおいては大きな課題だ。しかも相手は生まれてまだ数年。一度の指示だけでは脳への刷り込みはほぼ不可能なのだ。
 でも実はこれ、大人も変わらない。現に「御手洗冨士夫 キヤノン流現場主義」(坂爪一郎著、東洋経済新報社、2004年)の中で御手洗氏はこう述べている。
 「経営方針などはこちらがどんなに思い入れを持って話そうと、一度言っただけで全社に伝わることはまずありません。何度も繰り返し話すことで、ようやく聞き手の頭に入るようになります。」
 つまり大の大人相手でも「一回言った=理解してもらった」とはいかないのだ。重要な内容は根気強く言っていかねばならない。
 それにホラ、別のことに気をとられる点についてはわが身を振り返れば思い当たるはず。あることをグーグルで検索しようとしたのに、気がついたらいつの間にかネットサーフィンで数十分たっていたり。あるいは何かを取りに書斎に入ったのに、「最近片付けてないなあ」とついつい大規模な掃除を始めてしまったり。
 結局子どもも大人も変わらないのだろう。「一回言われたらちゃんとやりなさい」と子どもに諭すたびに、心の中では「鏡返し!」と自分にツッコミを入れる日々だ。

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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