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さあ、どうする?

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 「事前の資料はありません」と言われて当日通訳現場に行ってみたら、机の上には大量の資料が。
 この状況、毎回とは限らないが、ここ近年かなり増えてきている。確かに会議によっては何日も前から読み原稿をいただける。しかしその一方でまったく入手できず、いざ現場に着いたら原稿・資料がドッサリということもあるのだ。さあ、どうする?
 この状況に直面したとき、通訳者なら二つの考え方ができるだろう。
 一つは「え、聞いてないよ〜!こんなにたくさんの原稿、今さら渡されてもどうやって読みこなせばいいの?しかも作成日付、昨日じゃない!だったら夜中でもいいからファクスで送ってくれれば良かったのに〜!!」と思うタイプ。血圧は最高潮。
 もう一つは「あ、今回も現場で原稿と『ご対面』かあ。ま、最近こういうケース、増えてるからね。元々『原稿なし』って言われて、『じゃあ資料ゼロの中、最善を尽くすしかないなあ』って思って来たんだし。今から読みこなすのは大変だけど、ないよりはマシよね!」ととらえるタイプ。心拍数は最高潮だが、ゴチャゴチャ考えるよりとにかく早く眼前の資料に目を通そうと必死になっている。
 以前の私は確かに前者のタイプだった。通訳現場そのものの雰囲気にただでさえ圧倒されている中、そういうイレギュラーに直面してパニックになっていたのだ。しかし、子どもたちが生まれてからは後者の考えに近づきつつある。
 何しろ小さい子どもが二人いる中、限られた予習時間で新しい知識を得られただけでも感謝モノ。保育園から『お熱出ました・お迎え来て下さい』コールがかかってこなかっただけでも、こうして仕事ができるのだ。さらに我が家のように5歳や3歳といえば、気まぐれ・大泣きが日常生活の中では当たり前。「やりなさい」と言われたことはすぐにやらないし、何度注意しても同じことをまた繰り返す。子どもの理不尽かつご無体な要求に比べれば、社会人としての常識を兼ね備えたクライアントに対しては大らかになれてしまうのだ。

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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