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ためて、ためてのボレロ

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 先日、夫と息子の3人で子供向けクラシックコンサートへ出かけた。これは某交響楽団が教育プログラムとして実施しているもので場所は都内の大ホール。ソリストたちも揃え、本格的な内容であった。
 実は昨年夏も夫と息子の3人で能楽鑑賞をした。ただし娘は当時まだ2歳で小さすぎて参加できず、保育園へ。息子にとっては久しぶりの「一人っ子状態」となった。両親を独占できたのが嬉しかったのか始終ニコニコしていたので、今年も3人だけの「デート」としてこのコンサートを選んだのである。
 当日はワーグナー「ローエングリン」第3幕への序曲でスタート。金管楽器の華やかな音色に会場が沸く。私自身、子どもが生まれるまではコンサート三昧の生活をしていたが、出産後の子育て期間はそれどころではなく、コンサートから足が遠のく日々。それだけにこのファンファーレのような出だしを聞くや感動で涙が出そうになった。「ローエングリン」のあともオペラ「愛の妙薬」や「トゥーランドット」などからの名曲が演奏され、ベテランテノールの歌声を満喫できた。
 そしてコンサートのハイライトはラヴェルの「ボレロ」。「タ、タカタタ、タカタタッタ」のあの小太鼓メロディが169回も延々と続く有名な曲だ。これまでCDで色々な指揮者のものを聴き、コンサート会場でも何度か耳にしてきたが、何回聴いても面白い。ボレロの良さは生で鑑賞することにより再発見がその都度あることだ。「おお、こんなところでチェロはあんな動きをしていたのか!」「ようやく弦楽器が入ってきた〜」など、聴衆の耳と目を存分に楽しませてくれる。
 長い重厚な同一メロディからようやく転調するといよいよクライマックス。もうすぐ終わるぞ〜という気分が盛り上がってくる。そして最後にフォルティッシモで全楽器が奏でると、最後の2小節でリズムが変わり、倒れるがごとく終了。ここで聴衆も待ってましたとばかり大拍手を送る。まさに拍手したいがために盛り上がる感じ。「ためて、ためて」のボレロ、何度聴いても飽きない。今度はスコアを見ながら家でじっくり研究し、再度コンサートホールで聴いてみたいと思う。
 ・・・ちなみに息子はボレロが終わっても夢の中でした!

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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