BLOG&NEWS

北欧的エコ生活・・・

トナカイ

通訳・翻訳者リレーブログ

北欧というと、環境に配慮する国々というイメージがあるのではないかと思います。
フィンランドは、日本よりやや小さい国土に530万人の人口しかいませんので、もともと「汚れにくい」環境にはあるのだろうとは思います。それでも、フィンランドにきれい好きな人、環境に敏感な人が少なくないのは確かで、筆者もフィンランドに来て多少は意識が向上した?かもしれません。卑近な例では、一見当たり前のことではありますが、道端に何か落ちていれば(自分や家族が落としたものでなくても)拾って近くのゴミ箱に捨てるなど・・・周りの人たちがそうしているので、自然にそうするようになったのだと思います。
もっとも、日本では街を歩いていても拾うゴミさえ見かけない気がしますが(笑)

環境を重視する国の一つ、とはいうものの、フィンランドは冬の暖房などでCO2の排出量もバカにならないなど、ハンデも持つ国。また、次世代の基幹産業にはいわゆる「クリーンテック」を想定しているとも言われており、小さなことから大きなことまで、環境への取り組みをますます活性化させていきたいのではないでしょうか。

そんな折、先日近所の図書館で、家庭のごみを減らすためのチェックリストがリーフレットになっているのを見つけたので、家に持ち帰ってきました。ヘルシンキを中心とする首都圏自治体連合*(Federation of municipalities)が制作したものです。
チェックリストの項目は全部で50以上あり、「無駄にモノを増やさない」「購入するなら上質のものを」「食料品の買い方、食物のゴミを減らすには」といったことから、「趣味や休暇の過ごし方」、「賢い改築・リフォーム」など13のテーマに分かれていました。
項目を一つ一つ読むと、ともすれば個人の嗜好をゆがめる苦行(?笑)となりかねない節約生活を強要するのともまた違う、ちょっとした生活のヒントがちりばめられているのがなかなか面白かったです。
例えば、誰かへの贈り物や自分のご褒美は映画やコンサート、マッサージなどのギフト券にして、モノではなく無形の体験やサービスをプレゼントしてはどうか(モノをもらうよりもぜいたく感アリ?)。あるいは、森に行ったらベリー類やキノコ類といった山の幸を堪能しよう(言われずもやります、やりますとも〜!)、など。掃除には酢や重曹が有効、といった日本でも流行ったエコクリーニングも項目に入っています(筆者も愛好者。ちょっぴり鼻高々で項目チェック)。
フィンランドの水道水の水質は世界一よいので、ボトル入りのミネラルウォーターを買う必要はなし、などと業界からクレームが来ないか?というようなものもあれば、映画や音楽、ゲームはネットで購入、と時代を先取りした推奨も見られます。

他のチェック項目も、比較的すぐに実行できそうなものばかりなのですが、チェックリストの裏面にはしっかり「ゴミの抑制とは、ゴミをまったく出さないこと、リサイクルにさえ出さずにすむことを意味するのです」と、高い目標が設定されています。「分別も大事だが、ゴミを減らす唯一の方法は賢い消費」とも。ハイ、勉強になります・・・。
そして最後には「賢い消費で、お金と環境が同時に節約できます」「あなたがゴミを減らせば、あなた自身が地球温暖化の抑止に一役買えるのです!」と市民のモチベーションアップも忘れません。

このリーフレットを作成した自治体連合「ヘルシンキ地域環境サービス局(Helsinki Region Environmental Services Authority)」は、ネット上にも廃棄物抑制のための詳しい資料サイトを開設していますので、北欧流のエコ生活を実践されたい方はどうぞ。
http://www.ytv.fi/eng/fiksu (英語)

*自治体連合 フィンランドの自治体はそれぞれ規模が小さいため、事業の効率化を図るため、自治体が管轄する任意の公共サービス部門(社会福祉・保健、環境、交通、教育など)で近隣の自治体と自治体連合を結成し、共同で事業を実施することがあります。

参考資料:Vinkkilista-Vahenna jatetta kotona (YTV Paakaupunkiseudun yhteistyovaltuuskunta Jatehuolto)
*表示の都合上、語中のウムラウトは反映されていません

Written by

記事を書いた人

トナカイ

フィンランド・ヘルシンキ在住の多言語通訳・翻訳者。日本で金融機関に勤務の後、ヨーロッパへ。留学中に大学講師を務め、フィンランド移住後は芸術団体インターンなどを経て現在にいたる。2児の母。

END