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用語集

仙人

通訳・翻訳者リレーブログ

ずっと文芸関係の仕事が続いているので、頭を他の方向に変えておきたくなり、ごく短い書類だったこともあり、まったく異なる分野のビジネス翻訳を並行して引き受けてしまいました。大失敗。分野が似ていると頭が混乱して、主人公の名前を間違えたりするのですが、今回はそういうことではなく、とにかく進まない! ビジネス文書にありがちな、すごく日本語的な言い回しが多くて、英語ではこんなことは言わんだろう、というのを飛ばすとスカスカの文章になってしまいます。さらに、資料としていただいた「用語集」というのがあって、表現をこれで統一してください、ってことになっているのですが、どう考えても英語的表現としてはおかしいと思う言葉が多く、その「用語」を使っていくと、関連した言葉もみんな変な言い回しになっていくのです。はあ。
この用語統一のためにいただく「資料」というのは、なかなか曲者です。純粋に個人的な感想として、ですが、外資系など英語に慣れているクライアントからの「資料」は使えるものが多いのに対し、とても日本的なクライアントとか日本的な内容のもので「用語」を知りたいときには、役に立つ資料がないような……。
用語集をもらわなくたって、品質改善に関する「改善」は普通improveで、そう訳して欲しくない場合に、用語集があるのなら理解できるのですが、「改善」にまつわる語が、えんえんと○○の改善、改善された△△、improve, improving, improved, improvement、といろいろな形で「用語」として集められていて、エクセルに入っていた資料が見づらいので、improve関係の語をソートアウトしたら、残った「用語」はごくわずか。ところが日本語でも聞いたことのない言葉は、用語集には存在しないので、その意味をあちこち調べて理解したうえ、それを簡潔な英語にするという作業をしなければならなかったり、って言うか、そればっかり。ふう。
でもまあ、新しい知識が増えるっていいことなんですよね、きっと。ただ、ひとつのことを覚えると、前からある知識が三つ頭からこぼれ落ちている気はしますが。

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記事を書いた人

仙人

大学在学中に通訳者としての活動を開始。卒業後は、外資系消費財メーカーのマーケティング分野でキャリアアップ。その後、外資系企業のトップまでキャリアを極めた後、現在は、フリーランス翻訳者として活躍中。趣味は、「筋肉を大きくすることと読書」

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