BLOG&NEWS

ボストン出張

昼顔

通訳・翻訳者リレーブログ

さきほど1泊2日のボストン出張から帰宅しました。ボストンはアメリカにとって歴史の宝庫のような街で、街全体が綺麗で落ち着いた雰囲気を漂わせています。特に今回初めて訪れたボストンのサウス・ステーションはとても綺麗で旅人の心が寛ぐようにとの配慮が至るところで見受けられました。

それにしてもやはり片道4時間の移動は疲れるものです。フライトでの移動も考えたのですが、この季節については予想外の雪で足止めをくらい右往左往するよりは、キャンセル率の少ない鉄道の方が安全と判断したためです。

アメリカでの仕事で日本と一番大きく違うと感じるのは、移動や宿泊の自己手配が多いことです。日本だとエージェントの方々がクライアント様との間にたって資料の取り寄せや移動・宿泊のケアまで配慮してくださるので、通訳者は仕事の準備に専念することができます。この手配作業に時間を取られるという難点はありますが、慣れるとこういう作業も自分の好みを反映できることもあり、なかなか楽しいものです。

さて、今回の案件は、スケジュール的にとてもタイトだったため、会議だけでなく、その後のディナーでも終始仕事の話ばかりでした。ディナーの場所に選ばれたのは、ボストンでも有名な港を見渡せるレストランでしたが、残念ながらうっとりと夜景に堪能する暇はなかったです。

会食の際の通訳は食べることとのタイミングが勝負なのです。社内通訳時は噛みごたえのある肉を口に入れた途端、通訳を求められ、急いで呑み込もうとして笑いをとったこともありました。ただフリーランスで臨む場合にはその甘えも許されないし、お行儀が悪いとは知りつつ、最初に一口大に切っておいて食べるという形で対処しました。右手にはペン、左手にフォークを持ちながらのディナーですよ。これじゃ、食った気になるはずがない!!目でも舌でも堪能できる料理のはずが、あいにく何を食べたのかほとんど印象に残っていないのがとても残念です。

そして翌朝は7時から朝食を交えての会談。昨日の流れからおそらく同じ状況で通訳するはずなので自分の朝食は要らないとクライアント様にも申し上げたのですが、「遠慮しないで食べていいですよ」と却下され、案じていたとおりの怒涛のような意見交換についていくのに精一杯。もちろん食べる暇などあるわけもなく、ほっかほかでテーブルに運ばれた私のパンケーキは気がついたらすっかりその輝きと温かさを失っていました…。

それでも最後に今回の一連の通訳についてクライアント様からお褒めの言葉を頂いた途端、「これこそがなによりのご馳走じゃないか!」と思ってしまう必要以上に前向き思考な私でした。

Written by

記事を書いた人

昼顔

外資系金融、在ジュネーブ日本政府代表部での勤務を経て、外務省職員として採用。帰国後は民間企業にてインハウス通訳者としてキャリアを積み、現在は日英仏フリーランス通訳者として活躍中。昨年秋からはNYに拠点を移す。趣味は数年前から再び始めたバレエと映画鑑賞と美味しいモノの食べ歩き。

END