INTERPRETATION

「前置詞の使い方」

木内裕也

Written from the mitten

 先日の投稿で「役に立つ英語表現」と題して、なかなか学校では習わないけど頻繁に使われる表現をご紹介しました。本コラムを読んでいるという友人数名から、「とてもためになった」とコメントをもらいましたので、今週は前置詞についてご紹介したいと思います。

 「前置詞を使いこなせるようになると、生き生きした英語表現ができるようになる」などと言われることがありますが、実際、前置詞だけでイメージやニュアンスが大きく変わることがあります。たとえば先日ご紹介したFall out of loveは、冷めてしまった感情がよく伝わってくると思います。今週はそんな便利な表現を5つご紹介します。

・Check out と Check in

 チェックアウトやチェックインというと、ホテルを想定しがちですが、実際には色々な場面で使用される表現です。何らかのチェックがされて、そこから外に向かう場合はCheck out。逆にチェックして中に入る場合はCheck inです。ですから、スーパーのレジで支払いをすることもCheck outといいます。友達とショッピングモールに行って、別行動で好きな洋服を見ていたとします。20分くらい経過して”Are you ready to check out?”と言えば、「次のお店に行こうか」という意味です。私はサッカーの審判員として活動をしていますが、試合前に選手の身分証明書を確認するのはCheck inです。試合という環境の中に入るためです。他の審判員と試合前の着替えや打ち合わせが終わると、”Let’s get them checked in.”と選手の控え室へ向かいます。

・Cash out

 居酒屋に行って楽しいひと時を過ごし、終電間際になって急いで「お勘定しなくちゃ」という状況になった経験があるかもしれません。日本ではその場で清算することが少ないですが、欧米のバーのように色々飲んだあとテーブルで清算する場合には、合計金額を計算してもらわなければいけません。そんな時はCan we cash out?と言います。このoutも、清算して店外に出るからですね。逆にCash inといえば、小切手などを現金化する、という意味にもなります。また「チャンスを有効利用する」という意味で使われることも。

・Sign in と Sign out

 これまでの2つの例で大体想像がつくかもしれません。ミーティングに行くと、入り口で出席者名簿に名前を記入しなければいけない場合があります。そんな時、Please sign in. と言います。逆に部屋を出るときに名簿に記録を残す場合はSign outです。同様にオンラインコミュニティーやチャットでも、スクリーンネームやパスワードを入力してSign inし、用事が済むとSign outする、と言います。似た表現でSign upもあります。I signed up for the seminar.と言えば、セミナーへの参加を申し込んだ、ということ。

・Come out of と Come out into

日本でも同性愛者がその事実を公表することを「カミングアウト」と言います。もともとはCome out of closetという表現に由来します。クローゼットというのは、ある意味で社会的に隠れた位置づけを示しています。しかし先日、20世紀初頭におけるアメリカ・マンハッタンの同性愛社会の歴史について本を読んでいたとき、その筆者がThey came out intoという表現を使っていました。Intoを使うことによって、より積極的に社会に入り込もうとする姿が表現されます。ただクローゼットから出てくるだけでは、社会の一員になろうとする姿は想像できませんが、intoを使うことで、「中に入り込む」というイメージがわいてきます。

・Discuss

 最後は「話し合う」という意味のDiscuss。SpeakやTalkなど、似た単語が多いためか、日本人が間違えやすい単語の1つです。Speak やTalkはAboutという前置詞がつきます。しかしDiscussにはつきません。Let’s discuss this issue.(この問題について話し合おう)というように、Discuss Aboutとは言いません。

さて、いくつかの例をご紹介しましたが、受験勉強のように丸暗記してもなかなか応用は難しいのが本当のところ。頭の片隅で覚えていく程度で、何か機会があればぜひ使ってみてください。

Written by

記事を書いた人

木内裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

END