INTERPRETATION

「免許更新」

木内 裕也

Written from the mitten

こちらで持っているEMT(Emergency Medical Technician)の免許の更新時期が近づきました。この資格は更新した年の3年後の3月31日までが有効期限です。私の場合、2005年6月に取得していますから、2008年3月31日まで有効です。更新するには、Continuing Educationと呼ばれるトレーニングを28時間以上行い、Refresher Courseと呼ばれる実地訓練を2日間受けなければなりません。資格の有効期限は来年の3月末ですが、更新に関わる全ての条件は今年の12月末までに済ませないと更新することができない規定になっています。私は既にCPR(Cardio-Pulmonary Resuscitation)のコースを10時間教え、これが必要な28時間に加味されるため、あと18時間のトレーニングを行わなければなりません。

 色々な話を聞いた結果、オンラインでのトレーニングの可能性があることを学びました。私が資格を取得したマサチューセッツ州から認定を受けたトレーニング機関の行っているインターネット上の教育プログラムを利用することで、好きな時間に18時間分の授業を受けることができます。早速、私はそのコースに登録し、1日2時間ずつこなすことにしました。

 授業はパワーポイントのようなスライドで行われ、最後にある試験に合格しないと、その分の授業を受講したという認定を受けることができません。オンラインですから、どんどんとスライドを飛ばすこともできますが、最後の試験が結構難しいのが特徴です。既にC-Spineと呼ばれる頸椎に関する授業や、Hypothermia(低体温症)に関する授業などを受けました。内容は最初に資格を取得した時に学校で受けた授業の内容とほぼ同じですが(一部、プロトコルが変っている点もあります)、改めて復習する機会があると、思い出すことも沢山あります。特に「このような症状の時は、こう処置する」と機械的になってしまっている点について、「なぜそのような症状が起きるのか」という背景を理解し、患者の状況をより深く知ることができます。

 オンラインでの授業を修了すると、2日間の実地を受けます。私の資格はマサチューセッツ州ですから、現地で行われるコースに出席しなければなりません。秋に何度かトレーニングが予定されているようです。そこでは、訓練を受けていたときのように、仲間とペアになってトレーニングを行います。骨折の三角巾を当てる事から、KEDと呼ばれる自動車事故で車の中で怪我をした人を救出する時に使う固定具まで、お互いを練習台にします。その後には試験も待ち受けています。

 数年前に始めて赤十字のCPR/AEDのトレーニングを受けたときには、患者の呼吸などを確認して「救急車を呼んでください」というステップがありました。今では自分が呼ばれて向かう側になりましたが、時間に余裕ができたら、もう少し上のランクの免許を目指して勉強を始めようかなあ、とも思っています。今週の写真は、マサチューセッツ州のEMTが活動する時につけているパッチと、私の車に積んである救急箱です。

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記事を書いた人

木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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