INTERPRETATION

第346回 「~の甲斐あって」

柴原早苗

すぐ使える英語表現

on the heels of … ~の甲斐あって
She made a huge success on the heels of her hard work. (彼女は努力の甲斐あって大成功を収めました。)

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「~の甲斐あって」を英語でon the heels of … と言います。heelは「かかと」のことで、文字通り訳せば「~のかかとの上に」となります。そこから転じて「~の後に続いて」や「~の余波で」「~の甲斐あって」という意味になりました。

ところで同時通訳の際に難儀するのは日本語の同音異義語。「ぶそうほうき」と聞いても「武装放棄」なのか「武装蜂起」なのかわかりませんよね。文脈から判断するしかないのですが、時間に限りがある通訳現場ゆえ、一瞬でも悩んでしまうとそこで集中力がそがれてしまいそうです。

同様に英語も「同じ音で違うスペル」の単語があります。今回ご紹介したheelしかり。「癒す」のhealも同じ音です。一方、一つの単語にポジティブとネガティブの意味を持ち合わせる英単語もちらほら。たとえばeffectはプラスの意味でもマイナスの意味でも使えます。よって、私個人としてはgreenhouse gas effectは「温室『影響』ガス」の方がしっくりくるのですよね。

ことばの奥深さ。これに触れられる通訳という仕事。だから病みつきになります。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者、獨協大学および通訳スクール講師。上智大学卒業。ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2024年米大統領選では大統領討論会、トランプ氏勝利宣言、ハリス氏敗北宣言、トランプ大統領就任式などの同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラム執筆にも従事。

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