INTERPRETATION

「長時間のフライト」

木内 裕也

Written from the mitten

多くのビジネスマンは私の数倍、飛行機を利用する回数が多いでしょう。しかしアメリカにいる友人の間では、年に数回日本とアメリカ、アメリカとヨーロッパを往復し、学会やサッカーの審判でアメリカ国内を飛ぶ私は、「地上にいるより、空にいるほうが長いんじゃないの?」と冗談で言うほど、飛行機を頻繁に利用しているという印象があるようです(実際、昨年のフライト数は約70回でした)。

 

 その影響で、色々な人に退屈なフライトを少しでも快適に過ごすアドバイスを求められます。実際には、残念ながらどれだけフライトを経験しても退屈なものは退屈。私の場合は1人で飛行機に乗ることがほとんどですから、一緒に話す相手もいません。そんな中で、少しでもフライトが短く感じられるように、色々な試行錯誤をしました。いくつかその例をご紹介します。少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。

 

フライト前に重要なのは、ただ座って飛行機の出発を待たないこと。飛行回数や距離が多いため、今ではエリートメンバーとしてラウンジの使用ができますが、それのできなかった頃は、ゲート近くの椅子に1時間以上腰をかけてフライトの時間を待っていました。しかしその後数時間どころか、10時間以上も座りっぱなしの状態になるのですから、ぎりぎりまで歩き回ったり、ターミナル内を散策したほうが、フライト中に座っていることに対する苦痛が軽減されるように感じました。もちろんラウンジのソファーや椅子は快適ですから、そこでリラックスできるのなら、それが一番でしょう。特に1日50ドル程度でラウンジが利用できる場合、乗り換え空港などの様子も考えると、エリートメンバーで無いなら1日の使用料金を払う価値もあるかもしれません。

 

フライト中には映画が流れますが、エアフランスなど一部の航空会社を除いて、配られるヘッドセットは使いにくいものが多いです。イヤホンにこだわるのは通訳者だからかもしれませんが、私は大抵、自分のイヤホンを持参して飛行機に乗り込みます。2時間の映画を3本見れば、それだけで6時間経過するわけですから、少し面倒でも、使いやすいイヤホンを持ち込んだほうが、快適に時間を過ごせるでしょう。

 フライトが長く感じられる原因の1つに、「退屈だから寝ようとするけれど眠れず、余計に時間の経過が遅く感じられる」ということがあるのではないでしょうか。私の場合は長時間のフライトの前日は睡眠時間を少なくし、飛行機に乗り込むときにはかなり眠気に襲われている状態にしています(ラウンジで飲むワインの影響もあるでしょうが)。離陸ぎりぎりまで眠気に耐え忍び、事前にフライトアテンダントに「飲み物や食事があっても起こさないでね」とお願いすれば、簡単に数時間は眠ることができます。

 また眠りから覚めた後、映画などを見たとしても数時間の暇な時間があります。その時間を効果的に過ごすために、私は3つの種類の仕事を持ち込みます。1つ目は読書タイプ。研究などで読まなければならない本や、趣味で読みたい本などを2冊か3冊持ち込みます。自分の読書ペース(1時間に何ページ読めるか)を知っていれば、適量を持ち込むことができるでしょう。2つ目は添削タイプ。論文や翻訳原稿は何度も見直して最終形を作り上げます。事前に原稿を印刷しておくことで、フライト中にかなりのページ数を推敲することができます。最後はパソコンを使うもの。自宅を出発するときや空港のラウンジでパソコンのバッテリーを充電しておけば、数時間は容易にパソコンで仕事ができます。このブログ投稿も実はアメリカに向かう飛行機の中で書いています。外は雲が広がっていますが、たぶん眼下にはアラスカ州やカナダが広がっているのではないでしょうか。その他、授業で使うプレゼンなどもフライト中に作成します。またメールに関しても、アウトルックで受信したメールの返事を書き、乗り換え空港のラウンジ、目的地のホテル、自宅などに到着した段階で、全ての返事を一斉に返信します。これも時間の有効利用でありながら、退屈なフライトを少しでも退屈でなくす方法です。

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記事を書いた人

木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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