INTERPRETATION

夏の読書

木内 裕也

Written from the mitten

 夏休みというと小学生時代の読書感想文を思い出しますが、休みを利用して普段は読めない本を読む、というのはアメリカでも同じです。休暇中にビーチやプールサイドで読書をする人は数多く、本屋には気軽に読める小説が「夏休みに最適の本」として並べられています。私は週に5冊以上の本を読みますが、どれも研究関連の本ばかり。なるべくそれ以外の本も読もうとしますが、どうしても優先順位は低くなりがちです。しかしこの夏は比較的、学術書以外の本も読んでいます。今回はここ数年アメリカで話題になっている小説などをご紹介します。日本でも円高を利用して洋書のセールが行われているようですから、是非手にとってはいかがでしょうか?

 Jodi Picoultは私の好きな小説家の1人です。最初に読んだのはMy Sister’s Keeperという本でした。つい最近はChange of Heartというのも読み終えたところです。必ずしもハッピーエンドのストーリーではありませんが、人の生き方や倫理観など色々なことを考えさせる本を書く小説家です。MercyやNineteen Minutesなど、他にも人気のある本をたくさん書いています。

 Million Little Piecesはここ数年、人気を維持している本です。20歳代でありながら、10年以上も薬物やアルコールの乱用を続けた筆者によるストーリーです。彼がどのような生活を更正施設で辿ったかが良く分かります。書かれている英語は必ずしもきれいな表現ばかりではありませんが、臨場感のある表現が特徴です。

 私の友人の1人はJane Austinの大ファンです。Austinの小説はは文学作品としてかなり落ち着いた作品ばかりですが、Sense and SensibilityやEmmaなど映画化された作品もたくさんあります。Pride and Prejudiceは日本でも映画化されて話題になったと思います。

 I Hope They Serve Beer in HellやThe Art of Racing in the Rain、When You Are Engulfed in Flamesなどはどこの書店に行っても、Summer Readingの一部として店舗に並んでいます。

 もちろんAngels and DemonsやThe Da Vinci Codeを書いたDan Brownの小説も人気です。Deception PointとDigital Fortressの人気が上がっています。また次の小説、The Lost Symbolへの関心も高まっています。

 高校生などの間ではTwilightシリーズが人気です。ハリーポッターなどこれまでにも人気になったシリーズはありましたが、私はどれも楽しむことができませんでした。しかしTwilightについては友人から薦められて読んだのですが、かなり楽しんで読むことができました。すでに4巻出ていますし、英語も難しくありません。英語学習者にもお勧めです。

 私の専門分野から一般向けの書籍を推薦するとすれば、Henry David ThoreauのWaldenやCivil Disobedienceがあります。Ralph Emersonの作品もアメリカ史では重要です。またW.E.B. Du BoisのThe Souls of Black Folkはお勧めです。私はこれまで30回以上読みましたが、読むたびに理解が深まる本です。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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