INTERPRETATION

日常生活で喜びを見つけるには

柴原早苗

通訳者のたまごたちへ

 4月から続いていたバタバタ生活も、ここに来てようやく落ち着いてきました。多忙なころは本当に自分のクローン人間が欲しいと思うぐらいあわただしい毎日が続いており、正直なところ、かなりメンタルな部分でも参ってしまったのです。けれどもやはり「時が解決する」とはよく言ったもので、流れに身を任せていたら何とかなったという気がしています。もちろん渦中にいるときは「早く状況を変えなければ!」と焦りの気持ちの方が強かったです。でも、人生というのは自力でどうしようもないこともあります。そんなときは焦らずやけにならずに、じっとその環境に身を置くことも大切だなと思います。

 そこで今回のこのコラムでは、そんな状況にいたとき私がどのようにして心の平静を取り戻そうとしたかをご紹介しましょう。日常生活で見つけられる、ちょっとした幸せです。

1.早朝の放送通訳シフトで早起きした時のこと。西側のカーテンを開けたらまん丸の大きな満月が見えた。

2.お店で買い物をした時、店員さんがお釣りを両手で丁寧に渡してくれた。

3.問い合わせの電話をかけたら、電話口に出たスタッフの第一声が明るくかつ優しい声だった。

4.朝ジョギングをしていたら、近所のバラの香りに癒された。

5.初めて出かけた近所のイタリアンレストラン。天井が高くて店内の雰囲気がイタリアそのものだった。

6.ポッドキャストでダウンロードしたブラウン前首相のスピーチ。珍しくジョークで、ブラウン氏の意外な一面がわかった。

7.ロフトでオシャレなマスキングテープを購入。これでお気に入りのポストカードを壁に貼ったら、まさに額縁のようになった。

8.娘とはまっているアニメ「夢色パティシエール」のコミック本を6巻一気に購入。初の「大人買い」で気分良かった。

9.元祖クッキングトイ(?)の「チンして!チップス」を入手。家にあったジャガイモやサツマイモをスライスしてレンジで温めたら、本物のポテトチップスのようにカリッとできた。

10.一日中雨が降った日のこと。お気に入りの便箋で友人に手紙書き。記念切手を選んで封筒に貼って出しに行ったら、それだけで気持ちがアップした。

 これから6月になるとジメジメしたお天気が続きます。気分的に滅入りそうな時期も、自分なりに幸せを見つけられるようにしていきたいと思っています。

 (2010年5月31日)

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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