INTERPRETATION

英語学習プランナー

上谷覚志

やりなおし!英語道場

皆さん、Financial Plannerという言葉はご存知でしょうか?最近では資格としても人気があるので、新聞や雑誌で見たことがある人、この資格を取得されている方が周りにいる方もいるかもしれません。このようなサービスが求められる背景としては、金融商品が多岐にわたり、かつその複雑さが日を追うごとに増しているという状況があります。金融や金融商品の知識を増やしつつ、定期的に自分のライフスタイルに合わせて、自己責任で見直し、変更か継続かの決断をする必要がありますが、個人一人で自信を持って判断していくことは実際にはかなり難しいのが現状です。

ここまで読んだ方は今回のコラムは一体どこに行くのだろうかと思われるかもしれませんが、今回のお話は同じことが英語学習にも言えるのではというお話です。英語学習者の種類もかなりありますが、その数を凌駕するくらいの教材や学校の数があります。日々、英語学習に関する新書が発売されていますし、いろいろなメソッドを宣伝する学校も山のようにあります。インターネットの普及により、ちょっと検索しただけでおびただしい数の英語学習教材が出てきます。

もちろん英語学習教材は保険や年金と比べるとはるかに個人の人生に与える影響は少ないわけですが、英語学習にかける教材費や授業料(人によっては海外留学した場合の費用)だけではなく、これまで費やしてきた時間をお金に換算したら結構な投資をしてきた人が多いのではないではと思います。しかもそのほとんど人が思ったような成果が出ず、まだまだ投資しないといけないという方が大半を占めているのではないでしょうか?

語学というのはここで終わりということはないと思いますので、究極的には勉強を継続していく必要はあると思いますが、これまでと同じ投資額とやり方をずっと続けていかないといけないのかというのはまた別の話だと思います。それぞれの学習ステージにあった勉強方法や適切な投資額というものがあると思いますが、教材のセールスや学校はできるだけ多くの方に自分たちの商品を買ってもらいたいので、自分たちの商品や学校の素晴らしさを力説しますが、個人個人のスキルアップのために他社の商品や学校を含めて提案することはほぼないですよね? そういう意味で、セールスマンとしてではなく、ある程度中立的な立場で、トータルにさまざまな商品や学校を紹介する”Financial Planner”のようなサービスが英語学習にも必要なのではと思います。

ただ難しいのは教材や学校の数の多さ以上に、目に見えないもの、つまりサービスやアドバイスにお金を払わない日本人気質にその難しさがあるような気がします。無料情報だけに頼り、自分だけの判断で全体が見えていない状態で、時間とお金を投資してしまうことがもたらす最終的なお金と時間のロスというのはかなり大きくなる可能性があると思いますが、なかなかアドバイスをもらったり、プランニングをしてもらったりすることにお金を払うところまで進んだ考え方ができる方はまだまだ少数派だと思います。

こういう部分が変わっていけば、日本人の全体の英語学習効率が上がっていくのではないかなと思うのですが、皆さんはどう思われますか?

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記事を書いた人

上谷覚志

大阪大学卒業後、オーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律を中心としたビジネス通訳として商談、セミナー等幅広い分野で活躍中。一方、予備校、通訳学校、大学でビジネス英語や通訳を20年以上教えてきのキャリアを持つ。2006 年にAccent on Communicationを設立し、通訳訓練法を使ったビジネス英語講座、TOEIC講座、通訳者養成講座を提供している。

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