INTERPRETATION

お勧め自宅学習教材

上谷覚志

やりなおし!英語道場

学校を立ち上げてから一貫して“サイトラ”をメインにして教えるということを進めてきました。通訳訓練にしろ、一般的な英語力を上げることにしろ、サイトラで英語の記事を訳したり、日本語の記事を使って英語にしてみたり、また音声を使って短い区切りごとに訳を入れていくという音声サイトラを行ってみたりとサイトラといってもいろいろな形態で力をつけていくことができます。

この5月から様々な外部講座でもこのサイトラと取り入れたコースが始まります。こうして少しずつサイトラという訓練方法が通訳の特殊訓練としてから一般の人の英語力強化のための勉強方法として広がりを見せているのは本当に嬉しいことです。これに合わせてオリジナルの教材を作り、一般の方がよりサイトラのメリットを享受して自主学習できるような教材を提供していきたいと思っています。

サイトラをする場合、教材をどうするかという問題があります。かなり力がある方であればいろいろなところから英文記事を選び、それを前から訳していけばいいのですが、まだあまり力がない人の場合にはうまく訳せなかったり、訳自体が合っているのかわからないこともあります。勉強会を開いてお互いに訳を出し合ってチェックし合うという手もありますし、学校行ってしっかり勉強するという方法もありますが、それができない人は市販の教材を活用するのも手です。

通訳訓練を始められないレベルの方には、ジャパンタイムズが出している『NEWS DIGEST Beginners』がお勧めです。英文記事自体がかなり短く、訳もきちんとついていますし、重要語句も英日訳が付いています。しかも音声も付いていますので、サイトラだけではなく、シャドウーイングもできますし、自分で音声を切りながら音声サイトラをしていくこともできます。また余力がある方であれば、英日でしっかりと表現を押さえたあと、日英のサイトラに挑戦するのもいいでしょう。その場合に、日本語を自分で読んで、その後すぐに英語でその部分の訳を入れていくというやり方にすれば通訳訓練の導入にも有効です。その時に自分のパフォーマンスを録音し、あとでそれを書き起こして文法的な間違いを確認したり、よりよい言い回しを考えてみるのもいいと思います。

記事そのもの英文のレベルは高くありませんが、簡単なものを確実にきちんとした日本語に訳す力も必要ですし、日英でここに上がっているくらいの英語がスラスラとでてくることを当面の目標にしてみてください。

もう少しレベルの高い方であれば「The Japan Times NEWS DIGEST (The Japan Times)」がお勧めです。記事の長さがビギナーズに比べると4倍くらいになりますので、初見で声に出しながらサイトラするとかなりの量になります。同じように音声を使った訓練や日英も入れていくと一人でやるとすると2〜3時間くらいの練習量にはなると思います。また、英→日、日→英それぞれ録音し、セルフモニタリングしていくとそれ以上の練習量になると思います。

難しい英文を読みこなす練習も必要ですが、比較的平易な文章を的確な訳に変えていくという練習も同じように必要です。訳の精度やスピードを上げたい方には是非お勧めしたい勉強方法です。どちらの教材も1,000円くらいで音声まで付いていますので、かなり経済的ですから、自宅学習教材をお探しであれば一度チェックしてみてください。

(2009年3月30日)

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記事を書いた人

上谷覚志

大阪大学卒業後、オーストラリアのクイーンズランド大学通訳翻訳修士号とオーストラリア会議通訳者資格を同時に取得し帰国。その後IT、金融、TVショッピングの社での社内通訳を経て、現在フリーランス通訳としてIT,金融、法律を中心としたビジネス通訳として商談、セミナー等幅広い分野で活躍中。一方、予備校、通訳学校、大学でビジネス英語や通訳を20年以上教えてきのキャリアを持つ。2006 年にAccent on Communicationを設立し、通訳訓練法を使ったビジネス英語講座、TOEIC講座、通訳者養成講座を提供している。

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