TRANSLATION

第6回「証明書」

エベースト・キャシー

Nuts and bolts of legal translation

日本は証明書社会であると言っても過言ではない気がします。

国や地方自治体が発行する以下のような証明書の英訳はなんだかんだの理由で必要となるケースが増えています。たとえば、海外に行くためのビザ申請や外国人・外国の企業が日本で活動するときなど。

戸籍謄本Transcript of Family Register

住民票 Certificate of Residence

住民票記載事項証明書

Certificate of Items Stated in Resident Register

印鑑証明書 Certificate of Seal Impression

所得証明書 Certificate of Income

非課税証明書 Certificate of Tax Exemption

納税証明書 Certificate of Tax Payments

卒業証明書 Certificate of Graduation

在学証明書 Student Registration Certificate

在職証明書 Certificate of Employment

退職証明書 Certificate of Retirement

会社(法人)の登記事項証明書

Certificate of Registered Matters of Company (Corporation)

不動産登記簿謄本(登記事項証明書)

Certified Copy of Real Property Registration (Certificate of Registered Matters)

外国人登録証明書

Alien Registration Card

外国人登録原票記載事項証明書

Certificate of Registered Matters of Foreign Resident

全部事項証明書 Certificate of All Matters

現在事項証明書 Certificate of Present Matters

現在事項全部証明書

Certificate of All Present Matters

現在事項一部証明書

Certificate of Partial Present Matters

所有権証明書 Certificate of Ownership

閉鎖事項証明書 Certificate of Removed Matters

閉鎖事項全部証明書

Certificate of All Removed Matters

閉鎖事項一部証明書

Certificate of Partial Removed Matters

履歴事項証明書 Certificate of Historical Matters

履歴事項全部証明書

Certificate of All Historical Matters

履歴事項一部証明書

Certificate of Partial Historical Matters

登録原票記載事項証明書

Certificate of Registered Matters

他に、除籍(closed register)、運転免許書(drivers license)、確定申告書(tax return)や源泉徴収票(tax withholding slip)の英訳が必要な場合もあります。

今回はこのような依頼をされた場合の注意点をいくつかご紹介したいと思います。

1.漢字・カタカナの名前の読み方

証明書の英訳を頼まれたらまず、依頼元から人物名の読み方を確認しましょう。当て字や珍しい読み方が多い日本ですので、翻訳者はインターネットで検索しても確実な読み方は当事者ご本人しか分かりません。カタカナをローマ字にする場合も同じです。翻訳者には分かりかねないこともありますし、分かったふりをして間違っていたら、依頼元に迷惑になるでしょう。どうしても依頼元に確認できない場合は確認できていない名前を赤字にしたり、コメントを残したりすると良いでしょう。

区長・市長などは各地方自治体のウェブサイトで確認すると良いでしょう。

2.住所の読み方

人物の名前の読み方と同情、依頼元に教えてもらったり、確認するが理想です。しかし、現在有効な住所ならば、以下のウェブサイトでひらがなの読み方を確認できます。

http://yuujirou.twinspark.co.jp/zips/index.html

しかし、字までの細かい住所やビル名はこのサイトでは確認できませんので、依頼元に確認するか、翻訳者ならではのインターネット検索技術を使用するしかありません(笑)。

市町村の合併について:

2005年に施行された市町村合併の特例等に関する法律に基づき、全国で大幅な市町合併が行われました。その結果、合併前の旧住所を調べるのが難しくなりました。確実な読み方が不明な場合、市町村の役場などに連絡して確認する手もあります。

*名前や住所を確実に確認出来ない場合には、その事実を依頼元に伝えるべきでしょう。

3.数字

証明書に出てくる数字を何度もチェックすべきです。

数字を言葉にするか数字にするかは証明書によりますし、各自の判断の場合は間違いを減らすため、スペースが許す限り数字はアラビア数字にした方が良いでしょう。

以下を参考にしてください。

10万 100,000

100万 1,000,000 (one million)

1000万 10,000,000 (ten million)

1億 100,000,000 (one-hundred million)

10億 1,000,000,000 (one billion)

100億 10,000,000,000 (ten billion)

1000億 100,000,000,000 (one-hundred billion)

1兆 1,000,000,000,000 (one trillion)

4.日付

証明書の日付は日本暦で表していますので西暦に変換する必要があります。

以下のような日本暦を西暦に変換するウェブサイトやアプリがたくさんありますので、お勧めします。

http://www.japan-guide.com/e/e2272.html 

また、ビジネス・ダイアリーに変換表がある場合も見かけます。

縦書きの戸籍謄本などの数字は以下の漢字で表すことが一般的です:

0 零

1 壱

2 弐

3 参

5 伍

10 拾

11 拾壱

12 壱弐

13 壱参

* 数字や日付は必ず2・3回チェックしましょう。

戸籍謄本と戸籍謄本の電子化について

現在二つの戸籍謄本が存在しています。古い電子化していないバーションと新しい電子化されているバーション。

詳しくはhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%B8%E7%B1%8Dhttp://en.wikipedia.org/wiki/Koseki

各地方自治体はどんどん電子化作業を行っていますので、いずれ旧バーションはなくなると思われますが、まだ全国の電子化は完全に終ったわけではありませんので、旧バーションの翻訳の依頼はしばらく続くでしょう。

証明書の英訳のフォーマット:実例

インターネットで検索するといくつかの例文を見つけると思います。たとえば、在日米国大使館のウェブサイトではいくつかの日本で発行される証明書の英訳に使えるフォームがあります。是非チェックしてください。

http://tokyo.usembassy.gov/e/acs/tacs-forms.html 

公証 〜 Notarization

正式に公証を頼まれた場合、公証人役場や大使館にどうしたら良いかを問い合わせると良いでしょう。また、以下のような文書を訳文の最後に入れてもいいでしょう。

I certify that the foregoing is a correct translation.

Translator’s signature: ____________________________________

Translator’s name and date: ________________________________

日本翻訳者協会のウェブサイトにも、いくつかの例文があります

http://old.jat.org/jtt/certifying.html 

証明書にはよくある表現の一例

この謄本は、XXの原本と相違ないことを認証する。

I hereby certify that this is a true and correct copy of the original record.

これはXX記録にされている事項の全部を証明した書面である。

I hereby certify that this is a complete record of all entries listed in the XX.

下線のあるものは抹消事項であることを示す

Underlined sections indicate deleted items

以下余白

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記事を書いた人

エベースト・キャシー

イギリス出身。シェフィールド大学で日本語と経営学を専攻した後、1998年JETプログラム(国際交流員)で来日。大分県で3年間国際交流員の仕事をしたのち、石垣島へ。2001年フリーランス翻訳業開始。5年間の石垣島生活ののちに大阪滞在、1年間の香港滞在を経て、現在大阪市在住。2009年にオリアン株式会社を設立して、特に契約書など法律関係の文書を得意としています。

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