HOME > 通訳 > 21世紀の通訳-Interpreting in the 21st Century- > 第54回 皇室

21世紀の通訳 -Interpreting in the 21st Century-

第54回 皇室

天皇が生前退位の意向を示したことが、ニュースを賑わせています。海外メディアでもカバーされていましたが、表現に違和感を覚えた方もいたのではないでしょうか。

私もしばらく前に、友人と英語で会話をしていたところ、友人が「Emperor Akihito」と言ったので少し戸惑いました。このような表現を海外メディアで耳にし、私のように一瞬思考停止に陥ってしまった方もいるのではないでしょうか。

日本では、報道でも日常会話でも、天皇の名前が出てくることはありません。天皇か、もしくは私の祖父母の世代であれば「天皇陛下」のように言います。皇后のことは「美智子様」とも言うので、名前に馴染みがありますね。英語でもEmpress Michikoのように表現されています。雅子様や悠仁様も同様です。

昭和天皇についてはEmperor Hirohitoという表現が使われています。皇太子はCrown Princeです。名前は徳仁ですね。ちなみに在任中の天皇は今上天皇と呼ばれ、存命中は年号をつけて呼ぶことはないそうです。亡くなることは「崩御」と言いますね。このような漢語は通訳泣かせですが、出くわすたびに覚えていくしかありません。

通訳で出てきた場合は、それぞれ日本語、英語で分かりやすいように訳す必要があります。言葉をそのまま訳すだけではいけないという好例になっていると思います。

イギリスにも王室がありますが、王室への態度は日本と比べると随分くだけているように感じます。土産物屋などに行くと、女王の顔が載っている皿が売られています。ファッションも注目されていて、全身ピンクのコーディネートは壮観です。対照的に、タイなどは非常に不敬罪については厳格なようです。日本も、どちらかというとタイ寄りでしょうか。実は私も、この記事を書く時に、最初は敬語を使って書いていました。読みやすさを考慮して平易に書き換えましたが、何となく失礼に当たる気がして、少し落ち着きません。

そういえば、昭和と平成も通訳泣かせですね。自分が通訳をしているときに、和暦を使われてしまい、詰まってしまったことはまだありませんが、資料に和暦が使われていることは結構あります。特に省庁からの通知などはほとんどが和暦です。


21世紀の通訳-Interpreting in the 21st Century-


↑Page Top

プロフィール

佐藤 祐大

佐藤 祐大さん
日英会議通訳者。熊本大学英文科卒。 公益財団法人日本英語検定協会に4年半務めたのち、ロンドンメトロポリタン大学に留学し、会議通訳の修士号を取得。 製薬会社、経営コンサル会社での社内通訳者を経て、2016年7月より現職。