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コンプレックスは原動力になる

工藤浩美

工藤浩美のプロフェッショナル対談

昔のシナリオを引っ張り出してきたら、どうして文章を書くようになったのか、ずっと昔のことを思い出しました。私はとにかく小さい頃から運動神経が人より劣っていて、跳び箱も逆上がりも出来ない小学生でした。クラスに一人か二人いましたよね。それが私でした。そのコンプレックスから、図書館に通い本ばかり読む子でした。小学校高学年で訳もわからずサガンなんか読んでいた記憶があります。作文が得意で、安部公房の読書感想文で賞をいただいたり、高校生の頃はすっかり文学少女に成長し、三島由紀夫にかぶれていました。

振り返ってみると30代が人生で一番よく文章を書いた時代です。平日は仕事、週末はほとんど有栖川図書館にこもってコンクールに向けてシナリオを書いていました。シナリオ大賞で賞金をいただくようになり、本気で脚本家になれると信じていた頃、ある日ナンデニ(南平台にあるDenny’s)の入り口に置いてあるチラシがふと目に留まりました。

それは当時日産のある新車発表に合わせて「新車を使って何をしたいか?」自由に400字以内にまとめて応募するというキャンペーンのチラシでした。ナンデニで友人を待ちながら400字にまとめて軽い気持ちで応募しました。ちょうどその頃沖縄を舞台にした脚本を書いていたので、沖縄の海を背景に考えた設定でした。

それがなんと2万人の中から選ばれて新車1台と100万円の賞金が我が家にやってきたのです!本当にびっくり。当時は車も免許も持っていなかったので、慌てて駐車場を数か月契約して車庫証明を取り、納車してもらった車は船便で両親に送りプレゼントしました。

それから私には確信があります。コンプレックスは絶対何かの原動力になるはず!

運動音痴は相変わらずですが、今は自分のペースでランやロードバイクを楽しんでいます。今朝は久しぶりに朝ランして近くのカフェで朝ごはん!あんなに苦手だった運動も、今はそれが出来る体力があるだけで幸せです。

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記事を書いた人

工藤浩美

白百合女子大学国文科卒業後、総合商社勤務。
その後通訳・翻訳エージェントに2社、合計11年間勤務。通訳コーディネーターとしてこれまでに数百件の通訳現場のサポートを行なう。 2001年7月に株式会社テンナイン・コミュニケーションを設立。趣味はシナリオ執筆。

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