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追悼

工藤浩美

工藤浩美の東へ西へ

軽井沢保養所の近くに大好きなカフェがあります。

花屋が横に併設されていて、時々ビーガンランチを食べに行きます。

カフェの下は小さな小川が流れていて、店内で水の音が聞こえています。

そこは時間を忘れるぐらい素敵な空間なんです。

帰りに花を買うのも楽しみの一つです。

山本文緒の「無人島のふたり」を読んでいると、このカフェのことが書いてありました。

私は昔彼女の「恋愛中毒」という本を読んでファンになりました。彼女はある日突然末期のすい臓がんで余命4ケ月と診断されます。軽井沢で療養しながら、その日々の様子を残した日記が「無人島のふたり」という本です。ご主人が寄り添って彼女の最後を看取ったそうです。若すぎる死でした。

彼女は闘病中でも体調のいい日に、この行きつけのカフェを訪れていたそうです。

このカフェは屋根がないので私は冬は訪れないのですが、先日防寒対策をしっかりして立ち寄ってみました。

どんな思いでこの席に座って、どんな思いでこの風景を見ていたのか考えると

胸が締め付けられるような思いがしました。

心よりご冥福をお祈りします。

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記事を書いた人

工藤浩美

白百合女子大学国文科卒業後、総合商社勤務。
その後通訳・翻訳エージェントに2社、合計11年間勤務。通訳コーディネーターとしてこれまでに数百件の通訳現場のサポートを行なう。 2001年7月に株式会社テンナイン・コミュニケーションを設立。趣味はシナリオ執筆。

END