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Life is like a box of chocolates

ぺこたん

通訳・翻訳者リレーブログ

先日、母校で“特別講義”なるものをやって参りました。

先生からの“招集命令”で駆けつけては、学生の前で、自分や仕事のことを雑談風に話すことは、時々やっています。でもこれは、あくまでも、お世話になった恩師に呼ばれ、“ははぁーっ、喜んで馳せ参じよう!”…と言うお気楽感覚。
しかし、今回は違います。はい、英米文学会から、正式な依頼を受けたのです。
と言うことで、最初は思い切り躊躇しました。なんせ私は、愛校心はないし(…と言ったら身も蓋もないが)、教育課程なるものを受けていないし、文法は大の苦手だし、“理論立てて”何かを話すような、脳も技も持ち合わせていないし、だいたい90分なんて長過ぎてあり得ないし〜!

と言うわけで、最初はお断りするつもりでした。
そうしたら先生いわく: “文法的な説明はいらない。自分の仕事や経験を話してくれれば良い。それだけで学生の刺激になる”…と。
それから、講演会のプロの友人数人に話したところ、“やってみると、これが結構楽しかったりするよ。がんばれ!”と激励され、で、はい、先々週、慎之介&ねねが話していた通り、一気に木を駆け登ってしまいました。
そうそう、もうひとつ、ある方に言われました: “自分の経験を大学…教育機関…社会…に還元しなければならない”。これには“そうだよなぁ”と、素直に納得してしまったのです。

と言うわけで、久しぶりのキャンパス詣で…です。
同日、講演会場へ向かう前に、“思い出の公衆電話”を探してみました。そう、このブログの第1回目にも書いた通り、私は20歳のある日、ふと思い立ち、キャンパス内から、愛読していた音楽雑誌の編集部へ電話し、そこの名物編集長に繋いで貰い、そうしてこの音楽業界との“縁”が出来たわけでして。ですから今の私があるのも、その公衆電話のお陰、私の原点なのです。しかし…“思い出の公衆電話”は、もう取り払われており、其処にはありませんでした。まぁ、携帯電話の時代ですからね。仕方ありません、ちょっと寂しかったけれど…。

で、講演会。シーンと静まり返ったままの90分。質問コーナーでも、手を挙げたのは、約60中2-3人。“私の話はそんなにつまらないか?”…と萎えました。が、終了後、質問や激励に来る学生の行列が。不思議な現象。でも嬉しかったですね!

で、こういう場で良くされる質問があります: “音楽を仕事にしてから、音楽に対する思いは変わりましたか?”。答えは“いいえ”です。そう、まるで変わりません。仕事を通して出会ったミュージシャンやスタッフは、魅力的な人達ばかり。ですから、思いは強まったと言った方が良いくらい。好きなタイプの音楽も、10代の頃とまるきり同じなんですよね。
それから、“お使いでもお守でも、その時々の状況次第で、何でも喜んでやっている”と話したところ、“ほ〜〜っ”と、驚かれました。そうして、こう言われました。“黒子として間に立ち、訳出しに徹する普通の通訳者とは違いますね”…と。なかなか鋭いご指摘! 私は“普通の通訳者”がどういうものか、正確には分からないのですが、でも“中立的な立場”で仕事をするのだとしたら、そうですね、私の立ち位置は少々異なります。私はあくまでも、“言葉”“外国語”というツールを使いながら、ミュージシャンやアーティストのプロモーション活動等のお手伝いをする、彼等のサポーターですから…。

事前に歌詞対訳の課題を出し、当日、簡単な添削もしたのですが、皆さん、なかなか素敵な訳を付けてきてくれました。感心。しかし難しいですね。“詩の持つフィーリングを大切に”とか“こころで感じて”…を連呼してしまいましたが、あんな説明で、大丈夫だったのかなぁ…。

そうそう、今のCALL教室、あれ素晴らしいですね。PC、VHS、DVD、パワーポイント、iPOD、何でも使用可能。未だ紙媒体相手に仕事している私にとり、これはまさに、“ワンダーランドへようこそ!”…体験でした。

それにしても、人生とは、本当に不思議なものです。卒業が待ち遠しく(=早く仕事がしたかった)、“教育”にも“研究”にも、まるで興味のなかったこの私が、卒業後約20年、こうして再びキャンパスに足を踏み入れ、このようなことをするようになるとは…ねぇ。

今回このゲストスピーカー終了後、真っ先に頭に浮かんだセリフがあります。
映画『フォレスト・ガンプ』中、トム・ハンクス演じるガンプが、バス停で、人生を振り返りながら呟く言葉。私の大好きなセリフ&場面でして、撮影現場ジョージア州サヴァンナへ、遊びに行ったほど……。

“Life is like a box of chocolates. You never know what you’re gonna get”

そう、“人生とは、驚きで一杯。何が起こるか分からない”。だからこそ面白いのだと、つくづく感じます。

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記事を書いた人

ぺこたん

高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。

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