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What A Wonderful World~♬♬

ぺこたん

通訳・翻訳者リレーブログ

南米某国での中高生時代、ひたすら通っていたアメリカンスクール。そこの1学年上のひとが、先日長編小説を発表した。この彼、金融畑一筋できたものの、その”面倒な世界”に嫌気が差し、数年前に足を洗い。で、若い頃からの夢だった、小説家の道を歩み始めたばかり。
アジア某国の外交官だった父親に伴い、世界中の国々を転々とし、母国で暮らした年数は少なく、大学も大学院も結局はアメリカ…と言うことを、いつか聞いたことがあるが。
とにかく。そういう半生が、人格形成に強い影響を及ぼしており、それはその創作物にも、確実に反映されているようだ。
なにせ物語の舞台は、ずはり”この地球上のあっちらこっちら”。我々がかつて棲息していた、南米某国も登場する。そこに色々な宗派&思想が絡み合う、ファンタジック冒険活劇なのだ。
“早くも評判になっている””自国の〇〇文学賞を獲った”…などと、フェイスブックのグループページに、嬉しい報告が次々入っている。
読むのが、いまから楽しみだ。読破後、このコーナーで改めてご紹介したいと思う。
そうそう…
“いまでもタイコ叩いてる?”。彼にいつぞや尋ねたことがある。そうしたら、”なんだよ、それっ? ドラマーだったことなんて、一度もないよ!”…と、LOL一杯のメッセージが返ってきた。
え…ええっ? おかしいなあ。ドラムスティック片手に、よく校内を歩いていたじゃないか。80年代チックなベスト素肌に着ながら。
…と、そこでふと思い立ち、クロゼットの奥の奥ほじくり返し、すっかり色褪せたyearbook(…全校生が載り全校生が貰う米国版卒業アルバム…のようなもの…ですね)、引っ張り出してきた。そうしてさっそく、彼のページを開いてみた。
そうしたら…あややっ。いたいた! 脳裏に残るとおりに。ドラムスティック握り締め、黒いベスト着込み、仁王立ちする彼が。
おおお~。わたしの記憶も、たいしたモンだ(^.^)  さっそくそのことを、嬉しそうに彼に御報告。すると、びっくりなメッセージが即戻ってきた。
“あはは、あれね。あれはハロウィンなんかのイベントで、着ていた衣装だよ。その時に撮った写真が、たまたまyearbookに使われたのさ。あんな格好、普段はしたことないし、ドラムも実は叩けないんだ”。
あああ、そっか。それで分かったゾ。つまりは、こうだ…。
ハロウィンなどの時の、校内での彼の印象的な姿が、こちらの脳裏に強く焼き付いていた。そうしてその後のyearbook写真により、その御姿は自分の中で、不動のものとなってしまったのだった。そんなところだろう。推測するに。
と言うわけで、実に3decades強の後に、初めて知るこれが真相。ああ、まったく持って、呆れるね。記憶なんて、そうとう適当なモノだ。
過去とはそうやって、自分の中で、自分の都合の良いように、どんどん再構築されながら、長い歳月の中やがてそれは、真実の中の真実となってゆく、こともあり得る。と言うことの、これ実に分かりやすい例だ。ああ、やれやれ。
しかし、しかし。そんなやり取りしながら、改めて思うのであった…
世の中、便利になったものだ。フェイスブックやメッセンジャー・アプリひとつ。それで、地球のあっち&こっち&そっちに住む、昔々のその昔の知り合いと、時差も通信費も気にせずに、こうしていくらでも、対話できるのだから。
だって、以前は…
片道1週間くらいかかる手紙か、あるいは、ちょっと話しただけで1万円越えする、雑音だらけの国際電話か。
ひと昔前までは、いや、そう遠い昔でもないついこの間までは、そんな具合だったなあ。思い返し感慨に耽る、昭和生まれなのであった。
世界は、あの当時と変わらず、広い。
けれど、と同時に、どんどん狭くなってもいる。そんな感じ。
先日のサッカー・ワールドカップ開催時は、まさにそれを痛感することの連続。怒涛の一ヶ月だった。
“ブラジル、がんばれ”
“コスタリカ、行け行け”
“チレ、力を出し切れ”
“アルヘンティーナ、いいとこ見せてやろうぜ”
先述の小説家の彼を含め、何十人もの同窓生らと、毎晩毎晩、喧々諤々。
試合を観る楽しみと、その感動をみんなと共有できる喜びと。これぞ、エアー・パブリック・ビューイング。
そうそう、そうなのだよ。話が行ったり来たりするけれど…。
アメリカンスクールって、どこも似たようなものだと思うけれど。この南米某国でも、アメリカ国籍を有する者は、全体の半分以下。約50%が現地人、残り10%はその他諸外国人(←あたしのような)。
そのアメリカ人ったって、大半は親の仕事の関係で、母国をずっと留守にし、世界中で育ってきた人たち。だからそれぞれが、愛する第二、第三、第四の故郷を持っている。
従ってみんなこういう時、応援する国はひとり複数。今回予想以上に強かった、母国アメリカの応援は言うまでもなく。
そうして現地人もまた。ヨーロッパからの移民の子孫だったり、片親が外国の人だったり。
だからみんな、ポルトガルだイタリアだオランダだクロアチアだドイツだと、いろいろいろな国を応援。南米国だけ、とは限らないのだった。
またまた、これ余談だが。
決勝戦キックオフ直前の頃、どさくさに紛れ、スペクタキュラーな物語、いきなり淡々と語り出す輩も。第二次世界大戦の頃に、ドイツから逃れてきた両親のストーリーを。
みんなと過ごしたあの日々から、30年以上過ぎたいま。この期に及んで、突然初めて聞く、とびっきりディープな話。みんな思わず聞き入ってしまった。
“国って、人種って、国籍って、いったい何だろう?”…。彼らと話していると、いつも考え込んでしまう。
これ、この狭い島国ニッポンに、ずっぽり篭っていると、なかなか味わえない皮膚感覚。
ってゆーか、同じような肌の色目の色髪の色、同じ言語を使う人びとの中に居ると、考えずに済んでしまえること。
ペラペラの紙切れ。表の色の違うパスポート。ただそれだけ。それだけの違い。なのに、周囲や社会の刷り込みにより、特定の国に対し、先入観や

嫌悪感を抱くようになる。

更には、国の愚かなトップどもの、愚かな行動暴走により、あっちVSこっちに引き裂かれ、対立させられてしまう。否応なしに。
あたしら一般ピーポーは、自分たちの共通点にほっこりし、違いに興味を持ち、尊重し合いながら、普通に生活できている、というのに。のにも拘らず…。
…と、まあ、そっちの話を始めたら、本日のお題に、無事生還できそうにないから、以下省略いたしますが。
って、そもそも、本日のお題って、なんでしたっけ?
まあ、そう、とにかく。
ワールドカップを、アメリカンスクール友らと参戦しました…の巻…の続きを。
日本戦の時には、みんなからこんな書き込みが…。
“がんばれ、ハポン”
“よくやった、ハポン”
“ジャパンが弱いのではなく、相手が強すぎただけ”
“ジャパンのフェアプレイに、バンザイ”
…などなど。元気づけられたり、慰められたり。
不甲斐ない試合ばかり。
あゝ情けない。
でも、あたしの母国にも、みんな興味持ってくれて、とても嬉しいのだった。
ドイツの優勝が決まった瞬間には、仕事でボン駐在の、1学年下のアメリカ人友達が、こんなトボけた書き込みを…。
“アパート前の広場が、凄い騒ぎになってるが、なにかあったのか??”
ぶふふっ。
実はこの彼、数日前までずっと現場で、熱烈参戦していたのだった。ブラジルの美しい風景や、楽しそうな観戦写真を、日々アップしながら。
広場レポート直後には、紙吹雪やら何やら舞う中、歓喜するドイツ人達の、ライヴ映像が送られてきた。
それらを、遥か遠く離れた東京で、毎晩毎晩、眺めていた。目はショボショボ、ずっと酩酊状態…のような状態。そんな状態で、日本に居ながらにして、まるで現場に、ブラジルやドイツに居るような感覚味わい。なんて贅沢なことよ。
優勝セレモニーの頃には…
同窓生の誰かが、コルコバードのキリスト像ならぬ、コルコバードのメルケル像、ドイツの勝利の女神…の写真をアップ。
いまは東南アジアの某国に居る、例の小説家一年生からは、”さあこれから、2冊目の作品に、本格的に取り組むぞ!”…との頼もしい書き込みが。
で、こちらは…
“東京に居ながらにしての、グラグラ時差ボケの日々に、今夜でチャウチャウ”。
夜も白み始めた頃、最後にそう投稿し、スマホの電源を切り、眠りに就いたのだった。
幸福感&安堵感+少しばかりの寂しさ、胸に抱きながら。
ああ、ほんとーに楽しい1ヶ月だったなあ~。
で、翌日。長い祭りの後。
ふたたびいつものように、フェイスブック&メッセンジャーを覗いたところ、みんなの書き込み、さらにてんこ盛り発見。
こちらが微睡んでいる間、引き続きワイワイ話し続けていた模様。太陽が昇っている、あちら側の国々に住むみんなで、ワールドカップの総括を…。
で、ようやくベッドに入ったであろう、彼らと入れ替わりに、そのグループページのコメントひとつひとつに、じっくり目を通した。そうして、にんまり思うのであった…。
自分のこの居場所は、地球の中のほんの小さな点に過ぎず。世界の中心でもなければ、すべてでもないのだ。
この小さな島国に留まり、のほほ~んと暮らしていると、そんな当たり前なことも、ついつい忘れがちになるけれど。
この世界は、目眩がするほどに広く、多様性に富んでいる。
不完全で不条理なことも多々あるけれど、それでもワクワクすることに溢れ、愉快な人間が無数住んでいる。
ルイ・アームストロングの、慈愛に満ちた虹色の歌声が、
ふと、何処かから、聴こえてくる……
What a wonderful world〜♬
ほんと。しみじみ思う(^.^)

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記事を書いた人

ぺこたん

高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。

END