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はじめての救急車

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 5月2日水曜日のリレーブログで、the apple of my eyeさんが転倒して救急車に乗ったと書いていらした。幸い大きなケガには至らなかったようで、読者の私もホッとしている。私も子育て中なので仕事と体力づくりのバランスを考える一方、事故や病気だけには気をつけようと思っているところだ。
 救急車と言えば、私も数年前に初めて乗ったことがある。息子のケガだ。
 近所にできた大型ショッピングセンターへ出かけたときのこと。娘がまだベビーカーだったので、息子は3歳ぐらいだったと思う。買い物を終えて車に乗り込もうとした際、息子が車内で転んだのだ。「ドテッ!」という音と共に車内に突っ伏した後、「ギャオーン!!」と泣くので、「ハイハイ、大丈夫、痛くないよ〜」とこちら向きに抱き上げたら、顔面真っ赤っ赤!!頭から血が出ていたのだ。その瞬間は確かに焦ったが、なぜか内心「今日は濃い色の服を着せてきて良かった〜。これなら血も目立たないなあ」と思ったのを鮮明に覚えている。緊急事態にパニックしないようにと、あえて妙なことを考えて冷静になろうとしていたのかも知れない。
 泣き声を聞きつけて駐車場の誘導員さんたちが駆けつけ、すぐに救急車を呼んでくれた。救急車は搬入口に来るので、私たちは店内を横切って従業員控え室へ。血で真っ赤になった息子を右手で引き、左手で娘のベビーカーを押す。「大丈夫だよ〜」とあえてノホホン口調で言っていた私は、周囲から見たら異様に映ったかもしれない。何せ他の買い物客たちは心配そうに遠巻きに見ていたのだから。 
 控え室に入って数分後に救急車が到着。救急隊員のお兄さんが息子に名前や年齢を聞く。幸いきちんと答えていたので、脳に別状はなさそうとのこと。普段はベビーカーにすぐ乗り飽きる娘もただ事ではないと感じたのか、おとなしくしている。そんな娘に先ほどの誘導員さんがミニカーをお土産にくれた。娘はゴキゲン。
 念のため、脳のスキャンをとりましょうとのことで、救急車で病院へ。発車するやサイレンが鳴り始め、「ハイ、救急車通りま〜す」「追い越しま〜す」「左車線に寄ってください」とのアナウンス。サイレンだけでどの車もスパッとよけてくれて、まさに「そこのけ、そこのけ、お通りじゃ〜」の気分。出血が止まった息子もすでに泣きやみ、救急車の中を見回しては色々な機械に興味津々。一方、娘はサイレンの音も何のその、病院に着くまでグースカ寝ていた。ちなみに彼女は肝が太く、超マイペース。最近でこそあだ名が「ラテン」だが、すでにこのころからその兆候があったのだろう。
 病院では若い看護婦さんに手当てをしてもらい、息子はニコニコ。スキャンも一人で受けて、それがまた「自分一人でもできた」という自信につながったようだ。医師によると傷口はわずか数ミリ。ただ子どもは皮膚が薄く、打ち所が悪いとドッと出血するものらしい。
 翌日からは通常通り保育園に通い、傷口もすぐにふさがった。車内のどこにもとんがった場所はないのだが、よく見たらサイドブレーキボックスの脇に数ミリほどでっぱりがあり、どうやらそこに当たったらしい。こと車に関してはチャイルドシートを必ずつけて安全には注意を払ってきたが、まさに事故は思いがけないところで起こるのだなと思った。
 今でも救急車のサイレンを聞くと、その中にどんな境遇の人が乗っているのだろうと想像する。大事に至らないといいな、小さい子が痛い思いをしていないと良いけれど、と思う。

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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