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わが家にピアノがやってきた

かの

通訳・翻訳者リレーブログ

 今のマンションに引っ越してから来春で早3年。周囲のことを考えてこれまで楽器を弾くことは遠慮してきました。海外で仕事をしていたときはピアノをレンタルして弾いていたのですが、子どもたちが生まれ、自分の時間がどんどん少なくなる中、好きな曲を弾くのはもう無理かなあとピアノから遠ざかる生活が続いていたのです。

 生の音色の醸し出す雰囲気は人の心を癒してくれます。やはり私にとって音のない生活は考えられません。そこでネットで調べてみると何と楽器レンタルの会社があり、短期レンタルもOK。費用も月々1万円以内におさまるので、早速申し込んでみました。
 
 そしてついにピアノが到着!正式には「電子ピアノ」ですが、イヤホンもつけられるし、ストリングスなど10種類の音色も内蔵されています。これなら大好きなバッハの「インベンション第一番」もハープシコードの音で楽しめそうです。
 
 早速梱包を開けてみると・・・専用スタンドを自分で組み立てる必要が。うーん、ちょっと面倒だなあと思っていると、4歳の息子が「ボク、手伝うよ!」とキラキラしたお目目で言います。果たして重い板を持ったり押さえたりできるかなと心配でしたが、とりあえずプラスドライバー片手に二人で組み立て始め、1時間ほどで完成しました。
  
 ようやくピアノが弾けるという喜び以上に、息子がいつの間にか頼りがいのある子どもへと成長していたのが私にとっては大きな発見でした。「子どもはあっという間に大きくなる」とよく言われますが、まさにそう。小さくて私の手助けなければ生きていけないと思っていた乳児期はもう過ぎてしまったのですね。嬉しいような淋しいような気がします。
 
 ピアノに内蔵されていたジャズ風の曲を聴き、先日の放送通訳で訳したニューオーリンズのことを思い出しました。ハリケーン・カトリーナで被災した教師がヒューストンに学校を建て、被災した児童がそこに通っているのですが、そんな窮状を見たカリフォルニアの子どもたちが募金活動を行い、その学校へ寄付したそうです。番組ではこの教師とカリフォルニアの子どもたちがインタビューされていたのですが、私はこの時点で感無量。苦しんでいる子たちを助けようと別の子どもたちが行動を起こしたことにグッときたのです。

 被災した子どもたちが一日も早く自宅に戻れることを願わずにはいられません。

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記事を書いた人

かの

幼少期を海外で過ごす。大学時代から通訳学校へ通い始め、海外留学を経て、フリーランス通訳デビュー。現在は放送通訳をメインに会議通訳・翻訳者として幅広い分野で活躍中。片付け大好きな2児の母。

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