第329回 出版翻訳家は何を飲んでるの?
「翻訳する時って、何を飲むんだろう?」
ふと、そんな素朴な疑問が湧きました。ある作家さんは、朝からかなり強いお酒を飲んで執筆しているそうです。作家の場合はアルコールの入った状態のほうが筆が進むこともあるかもしれませんが、そんな無頼派(?)の翻訳家って、あまり聞かないですよね。
ハードボイルドやミステリなら、「ウイスキーを舌の上で転がしながら翻訳」というのもイメージできそうな気もしますが、実際に酔っぱらってしまったら翻訳はできないですものね……。
長時間自宅でする仕事なので、何かしら飲み物を片手に臨んでいるはず。それなら、各自それぞれに定番ドリンクがあるのでは?
どうしてそんなことを考えたかというと、飲み物が心身に与える影響がすごく大きいと実感する出来事があったのです。このところやけに気分が落ち込みやすくて、どうしたのか心配になっていました。「これはもしかして副腎疲労かも?」と思って症状を調べると、当てはまるものが以下のようにたくさんあったのです。
- 朝起きるのがつらい、午前中に強い疲労感がある
- 慢性的な倦怠感や「ぼーっとする」感覚
- 気分の落ち込み、イライラ、不安感
- 集中力や記憶力の低下
- 睡眠障害(寝つきが悪い、途中で目が覚める)
- 甘いものや塩辛いものを強く欲する
- 低血糖症状(空腹時にふらつく、イライラする)
その原因の中で目を引いたのが「過度なカフェイン摂取」。「これだ!」と思いました。ここしばらく、コーヒー片手に仕事をしていることが多かったのです。
もともとコーヒーは好きでよく飲んでいたのですが、胃がダメージを受けやすいことに気づき、控えるようになりました。一時期はデカフェを何種類か試してみたものの、どうも納得のいくものが見つからず、結局またコーヒーに戻っていました。量を試行錯誤して、「これくらいの量なら胃に負担を感じないな」という適量を見つけて喜んでいたのですが……副腎には負担が大きかったようです。
そんなわけで、今はルイボスティーを主に飲んでいます。これは数か月前から毎朝飲んでいるものです。朝もコーヒーだったのをしばらく白湯に変えていたのですが、白湯だと味気なく感じることも多かったんですね。そんな時にちょうど、近所でルイボスティーの専門店がオープンし、気に入った味を見つけることができました。それ以来、朝の定番になっていたのですが、今では仕事の時にも飲むようになりました。
食べ物に精神状態が影響を受けることには注意していましたが、正直、飲み物にはそれほど注意を向けていませんでした。ジュースやコーラのように糖質が多くて血糖値を急上昇させるようなものを飲むわけではないし……と思っていたのですが、自覚していた以上に影響が大きかったようです。
あなたの翻訳のおともは、どんな飲み物でしょう? 何気なく飲んでいる一杯が、気づかぬうちに身体に作用していることもあるようです。気になったら、見直してみるのもいいかもしれませんね。
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