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世界が変わる?

さるるん@ロシア

通訳・翻訳者リレーブログ

今週はじめの深夜のこと。翻訳案件の納品期限まであと数時間。「もっと推敲しないと文章がひどすぎる。せめて、あと1日あれば・・・」と泣きそうになりつつ作業をしていて、はたと気づきました。その日は自分の目標納品日であって、発注元の指定納品日は1日先。ほっとしたものの、自分のスケジュール管理に不安を覚えました。しっかりせねば!

翌日、その案件を仕上げて、さらにその翌日、短い投資レポートを仕上げたところで、久しぶりにニュースをじっくりチェックしたら、英国での暴動がひどいことになっているし、米国では株価が大きく下落しているし、円高も私の銀行員時代には見たことのないレベルまで進んでいるし・・・世界が大きく動いていました。仕事柄、経済情勢や投資関連のレポートを訳すことも多いため、米国の債務上限引き上げや欧州の債務問題の動向は注視しているのですが、時代の変り目にあることをひしひしと感じます。

ついにドル基軸通貨体制が崩壊し、米国が覇権を失うのでしょうか。そんなときに、ドルに対抗できる通貨を目指していたはずのユーロもがたがた。必然的に、多極化の時代、表現を変えれば中心のない(もしかすると混沌とした)世界になるのでしょうか。

ロシアのことが気になる私の目には、この数年ロシアが中国と組んで、基軸通貨をドルから多軸化する(ルーブルや人民元も軸となる)、つまり米国の一極支配から多極化の時代にするために積極的に動いてきたように見えていました。具体的には、原油取引の決済通貨をルーブル建てにする、中国との貿易決済はルーブルか人民元建てにするなど、ドルはずしを進めてきました。ロシアの報道(と言っても私が理解できる英語での報道)では、ロシアが言いたいことを他国の政治家や評論家の発言を引用して報道することが少なくないのですが、BRICsの多極化のための協調に関して、ブラジル高官の「これは経済戦争だ」という発言を引用して解説していたことが強く印象に残っています。

ちなみに、ロシアに住んでいると、世界はそれこそ経済戦争、資源戦争など、武力を使わない暗闘に充ち満ちていると感じるのですが、日本にはそういった緊張感がない。敗戦後に武力放棄をしたときに、こういった武力を使わない「戦争」まで放棄してしまったのではないかと、歯がゆく思うこともたびたびです。

ともあれ、ドルがだめになれば、国際金融システム全体も揺らぐし、米国経済がだめになれば、日本経済も大打撃を受ける。自分の仕事や生活もどうなるかわからない。不安だらけです。何が起きても乗り越えられる強さを持ちたいです。

【今月の一枚】
アリョーシャ@ムルマンスク

夏休みに、娘がバーブシュカ(おばあちゃん)と、ダンナが生まれ育ったムルマンスクに行ってきました。列車で片道2日がかりの旅だったとのこと。これは、「アリョーシャ」という愛称の高さ40メートルの兵士像。ムルマンスクのシンボルです。写真右下の人間の大きさと比べてみて下さい。

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記事を書いた人

さるるん@ロシア

米系銀行勤務後、米国留学中にロシア人の夫と結婚。一児の母。我が子には日露バイリンガルになってほしいというのが夫婦の願い。そのために日本とロシアを数年おきに行き来することに。現在、ロシア在住、金融・ビジネス分野を中心としたフリーランス翻訳者(英語)。

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