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夏と言えば合宿です!

いぬ

通訳・翻訳者リレーブログ

8月1日。いよいよ今日から3日まで、八王子にあるセミナーハウスにおいて、2泊3日で、待望の通翻合宿が実施されます。

ただ、私は午前中、静岡で大学の公開授業を行ないますので、夕方から合流。初日はまず学生たちでプレゼンを行ないます。夜は翌日の通訳練習の準備。

2日目はおそらく朝から晩まで通訳練習です。ひょっとすると、1日目にやり残したプレゼンの続きが午前中に入るかもしれません。おそらく21時過ぎまでみっちりやって、それから恒例の打ち上げ。

3日目は軽い基礎トレと反省会。私は早退して、アルク主催の高校の先生向けの合宿に向かいます。

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date: Mon 01 Aug 2011
subject: みんな良い子で勉強しているように!
from:いぬ

通翻課程の皆さん

新幹線に乗り込んだところ。間もなく発射、いやいや、発車です。

これから静岡で大学関連の講演をして、夕食には合流できると思います。一つでも多くプレゼンを聞きたいと思います。

みんなもしっかりと質問をして、分からないことを決してそのままにしないように。面白そうなプレゼンが目白押しです。

いよいよ合宿、みんな頑張りましょう!N君、いろいろ調整ありがとう。O君、僕がいない間、プレゼンのツッコミ役は任せたよ。

いぬ

PS
今回の合宿の打ち上げですが、個人テーマは「ほろ酔い」です。そんなわけで、テキーラ、ウィスキーなど、ハードリカーは飲めません。

いや、ホントに。勘弁してね、某O君。

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大学の公開授業が行われたのは、コンベンションセンター「グランシップ」でした。土日に鳥取に帰省した時にも思ったのですが、やはり生活の質は地方の方がグッと上という印象がありますね。ドラえもんの「どこでもドア」があれば、鳥取に住んで千葉の大学に出勤出来るのですが。

さて、その「グランシップ」の前に、茶葉が植えられていました。さすが静岡、茶所だけのことはあります。ちょっとした説明も書いてあって、じっくり読みたかったのですが、行きには時間がなく、講義を終えた帰りに一通りメモしてきました。その数、何と10種類。

1 やぶきた (緑茶用)
 全国の茶生産地で広く栽培。すなおな味と香り。静岡生まれ。杉山彦三郎翁育成。

2 こやにし (緑茶用)
 すっきりした味、フルーティーな香り。温暖地に適す。杉山彦三郎翁育成。

3 ほうりょく (緑茶用、玉緑茶用)
 味は濃厚。花のような香り。静岡県茶葉試験場が育成。

4 山の息吹 (緑茶用)
 さわやかな新緑の香り。注いだ色は透き通った黄金色。静岡県茶葉試験場が育成。

5 おくひかり (緑茶用)
 寒さに強く山間地向き。東洋ランのような香り。静岡県茶葉試験場が育成。

6 鳩坑種 (中国の釜炒り製緑茶用)
 さわやかな香り、甘い味。静岡県が中国浙江省交流事業により入手。

7 大葉烏龍 (烏龍茶用の主要品種)
 香りが強い。葉が大きい。中国福建省、台湾などで栽培。

8 ただにしき (紅茶用)
 寒さに強い。濃厚で落ち着いた味。インド生まれ。静岡県茶葉試験場が育成。

9 べにほまれ (紅茶用)
 ふくよかな香り、濃厚な味。国の研究機関がインド種から育成。

10 べにふうき (紅茶用)
 緑茶用に製造すると抗アレルギー成分が多い。国の研究機関が育成。

最初の方に出てくる杉山彦三郎翁について、まったく知らなかったので、ちょっと検索してみたところ、実に興味深い人物でした。

「杉山は茶園の中から優良個体を選び、取木法を工夫して苗を殖やし、品種へと導いていった。今でいう「個体選抜法」で、単純な方法だが、 重要なのはそれをやり続けた彼の情熱である。せっかく集めた茶樹を抜き捨てられるなどの障害をはね除け、100余の品種を育成していった。なにしろ、 イタチと仇名されるほど熱心に畑をうろつき、前歯が欠けるほど茶の葉を囓んで回ったそうだ。 (「農業共済新聞」 1994年5月4日より転載 )」社団法人 農林水産技術情報協会サイトより

http://www.afftis.or.jp/senjin/yabu.htm

「良い茶の樹を求めて、遠く沖縄や朝鮮半島にまで足を伸ばすが、品種研究は進まず、品種改良に没頭する杉山は異端児扱いをされた。

杉山が五十歳を過ぎた、明治42年(1909)、当時茶業組合中央会会頭の大谷嘉兵衛が静岡を訪れる。
大谷は、品種改良に情熱を注ぐ杉山の熱意に打たれ、私財を投じて試験地二・七ヘクタールを購入し、彼の試験用にと提供した。

しかし、大谷が没すると杉山は再び孤立し、提供された試験地も県に移管され、取り上げられる。
それでも杉山は、自らの私財を投じ、もう一度試験地を獲得し、生涯に百に余る品種を育成するが、失意のまま昭和16年(1941)この世を去る。

杉山が開墾した茶畑から明治41年(1908)に選抜した二本の茶の樹のうち、北側が「やぶきた」、南側が「やぶみなみ」と命名されるが、「やぶきた」が評価され、農林省の登録品種に選定されたのは、杉山の死後、昭和28年(1953)のこと。」ブログ「【偉人録】郷土の偉人を学ぶ」より(このブログ、実に面白いです)

http://blog.livedoor.jp/ijinroku/archives/51623949.html

その他、植えてあったお茶について一通りググってみました。

「やぶきた」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%84%E3%81%B6%E3%81%8D%E3%81%9F

「山の息吹」「おくひかり」は静岡県茶品種普及協議会の「戦略品種」だそうです。そう言われると飲んでみたくなります。
http://www.wbs.ne.jp/bt/chacha/library/cha_hinsyu.htm

「玉緑茶」
http://ocha.tv/varieties/nihoncha_varieties/varieties_tamacha/

「釜炒り製緑茶について

釜炒り茶とは、摘んだばかりの茶葉を300℃程に熱した釜で炒ることにより、お茶本来の香りを際立たせたお茶です。

緑茶には、蒸し製と釜炒り製があり、蒸し製は蒸気で茶葉を蒸し発酵を止める手法で、釜炒り製は、釜で茶葉を炒ることで茶葉の発酵を止める手法です。

釜炒り茶の歴史は蒸し茶よりも古く、15世紀に中国から伝わり日本では釜炒り茶が主流でした。

しかし手間がかかり、すぐに茶葉が焦げるなど火加減が難しく技術的に熟練が必要となるため、現在では日本茶のほとんどが蒸し製となっています。

<玉緑茶(たまりょくちゃ)とは?>
回転ドラムで釜炒りするため、まっすぐな棒状ではなく、よじれた形が特徴です。
ちなみに、茎茶は「白折(しらおれ)」と呼ぶそうです。」
http://saikileaf.net/item/03700inbicha

.html

「ただにしき」
幻の紅茶だとか
http://www.seishin-fujinouen.jp/sub5.htm

「べにほまれ」
http://www1.tmtv.ne.jp/~cha/tea/j_tea.html

「べにふうき」
http://www.nishiseichasho.jp/shouhin/benifuki_50.html

……などとやっているとあっという間に八王子です。さて、合宿先である八王子セミナーハウスに向かうとしましょう。みんな頑張ってるかな?

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八王子セミナーハウスに到着すると、研修室へ。おお、やってます、やってます。

プレゼンは最後の2チームでした。スーダン内戦について途中から聞いてツッコミ。さらに医療に関しては最初から聞いて突っ込みまくっていたら、食事の時間になっていて、あわててみんなで食堂へ。でも、他の団体が食事を終えた後だったおかげで、ゆったりと食べられました。

学生たちは、6時間にわたりプレゼンと質疑応答をやっていたことになります。

食事の後は、7時半から9時半ごろまで、さらに追加の質疑応答。私が聞けなかったプレゼンについても私がコメントしたり、発表者への質問を募ったり、活発な学びが続きました。

その後、みんなはお風呂へ。私もカードを書いたり、NHKの原稿を書いたり、その他もろもろ仕事をやりつつ、質問にこたえるため調べ物。

ぼちぼち風呂上がりの通翻生が戻ってきました。さてと、私もお風呂に入ってこようかな。

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合宿2日目

昨夜は遅い人は1時ごろまで会議室に残って勉強していました。今日はまず、8時に朝食。

その後9時から12時までは英日通訳練習。学生たちの通訳をひたすら聞いてコメントして、背景知識や関連知識にも触れて、ということを繰り返していました。この時間帯は写真を撮る余裕なし。3時間があっという間でした。

13時から日英通訳開始。午前中と同じペースだと、4時過ぎには終わってしまうかと思っていたのですが、実際にはプレゼンの内容理解が不十分だったことが判明して補足説明をしたり、日本語でのメッセージのくみ取り方が甘かったので、じっくりと解説したり、と言ったことが続きます。

16時ごろに一度休憩。さすがにみんなぐったりしています。そりゃそうだよなあ。

18時から夕食。17時15分ぐらいから日英通訳練習をはじめ、結局20時ごろに終了しました。その後まとめの話などをして、今回の合宿の勉強は終了。1泊2日の場合、21時半ごろまで勉強が続くので、「今回はずいぶん早く終わったな」という印象です。やはり2泊3日だと、余裕がありますね。

その後、入浴タイム。21時過ぎから、満を持して打ち上げに突入します。一緒に頑張ってきた者同士、ワイワイと盛り上がりました。

そしてここでサプライズ。

2年生のH君と、1年生のS君率いる通訳翻訳課程・映像研究部Espoirのコラボで、夏から留学に行く通翻メンバーに留守組全員がメッセージを録画したDVDを作成していたのですが、その上映会です。20分余りのDVDに、みんなで見入っていました。すでに目が赤い留学組もちらほら……。

続いてH君が声掛けをして作成したメッセージカードの贈呈式です。留学組で、普段陽気な2年のKさんが、号泣しています。もらい泣きをする留守番組の学生たち。

それから留学組が1人ずつ謝辞を述べました。Kさんがワンワン泣きながら、様々な思いを振り絞るように話していた様子が印象に残りました。どの人も良いことを言ってくれましたね。

さらに留守番組の有志がひと言ずつ話をします。もちろん事前の打ち合わせなどなしで、その場で司会のH君にマイクを向けられて話すのですが、こちらもみんな、心のこもった話をしてくれます。

やはり感極まって泣きながらのスピーチが続きましたが、男性陣も、いつもは飄々としている秋田君(というあだ名で、秋田出身のK君)が途中で男泣きになったり、普段は冷静なH君まで声を詰まらせてのスピーチだったりと、聞いているこちらも胸が熱くなりました。

それにしてもいまどき、学生の集まりで、ほぼ1時間にわたって即興のスピーチが続くというのは、そうそうないのではないでしょうか。話の中身はもちろんですが、その点にも感心しました。

今年で通翻課程は3年目。ということは、3年前は全員赤の他人だったわけです。それが今では、留学組と留守番組で、涙の別れをしている。一緒に頑張ってきた仲間ならではですね。誰かが話していましたが、この連帯感はちょっと説明がしがたいものがあります。

贈呈式が終わった後も、何となく別れがたく、そのまま会議室でみんなで話に花を咲かせていました。そのあとに通翻課程のモットーである「Learn from everything!」を地で行くハプニングもあったのですが、まあこれも、時間が経てばいい笑い話です。

実に良い締めくくりでした。みんなよく頑張りました!

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以上、私がコーディネーターを務める、通訳翻訳課程の合宿顛末記でした。

Written by

記事を書いた人

いぬ

幼少期より日本で過ごす。大学留年、通訳学校進級失敗の後、イギリス逃亡。彼の地で仕事と伴侶を得て帰国。現在、放送通訳者兼映像翻訳者兼大学講師として稼動中。いろんな意味で規格外の2児の父。

END