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絶対に、大丈夫!!

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通訳・翻訳者リレーブログ

拝啓 桑田佳祐さま

先日、いつものようにテレビをつけながら、ボーッと原稿書きをしていた時に、突然画面に映し出された速報。一生、絶対に耳にしたくはなかったような、あのニュース……。

パソコンのキーを打つ手が、しばらく凍ってしまいました。心臓が飛び出るかと思ったほど。いえいえ、オーバーな話などではなく。

あれから世間では、テレビも新聞も雑誌も、連日のように、あなたのことばかり。全国民が、あなたのことを心配しています。
あなたとその作品たちが、どれほどみんなに愛されているかを、その偉大さを、改めて思い知らされました。
そうそう、人間ドックの問い合わせ&申し込みが、あの日を境に急増したのだとか。その影響力たるや、凄いものです。

思えば中学時代、南米での生活を始めて間もない頃、ある友人が、“このバンド、いま日本で凄い人気なんだよ”…と、カセットテープを送ってくれまして。
で、それをさっそく聴いてみた…次の瞬間……思いっきり仰け反ってしまいました。

“な…な…な〜んじゃ、これゃ〜〜〜ぁ〜〜〜っ?!!”

だって……
何を言っているのか、さっぱり分らない。日本語なのか何語なのか、それすら判断不明。タイトルからして、まるでナゾ。メロディーもハチャメチャ。リズムは御近所のブラジル、リオのカーニバル・テイスト。
だけど歌っているのは、紛れもなく日本のひとたち。茅ヶ崎出身…という話。

バンド名: サザンオールスターズ。
曲名: 「勝手にシンドバッド」。

遠い遠い南米の空の下。聴きながら、何が何だか皆目見当がつかず、意識が遠のきそうになった、あの瞬間のこと、今でも鮮明に覚えています。

そうしてその翌年、引き続き南米に拘束されていた頃、耳にしたのがシングル第3弾。これがもう、デビュー曲とは打って変わり、うっとりするような、美しい歌詞&旋律のバラードで…。
“えっ? これがあのメチャクチャなバンド? こんな曲もできるんか?!”。
予想を思いきり裏切ってくれました。清々しいほどに、もう思いきり。

それが、名作中の名作「いとしのエリー」。

その3年後、無事日本へ帰国。そうしてほどなくして、学生生活に突入。
キャンパス・ライフ第1日目。真っ先に思ったのは、“これでわたしはサザンの後輩!”。愛校心完璧ゼロの人間が、唯一嬉しかったこと(そうして今でも誇りに思っていること)。まったくもって、アホなファンですが…。

バンド活動に興味のあったわたしは、サザンが産声上げた軽音楽サークルを、ちらり覗いたりもしました。そう、“ベター・デイズ”。“目に浮かぶのは〜♪”と歌われている、あのサークルです。
“互いにギター鳴らすだけで分かり合える友”。あれには、そうとう憧れました。言うまでもなく、桑田さん&原さんという、とても素敵なカップルにも…。

嗚呼、「Ya Ya(あの時代〈とき〉を忘れない)」。
なんて素敵な曲なのでしょう。いま聴いてもジーンときます。

残念ながら、当時のこぢんまりとした可愛らしい“涙のチャペル”は、もう存在せず。跡地には、“あんなモノを前にして、涙する人などいないだろう”と思うような、巨大で無機質なコンクリート・ビルが建ち、肝心のチャペルは、その中に遠慮気味に収まっている。
ちょっぴり寂しい光景。

その4年後、“涙のチャペル”のあるキャンパスを去ったわたしは、音楽の世界に携わるように。そう、サザンの新譜が完成されるたび、リリース前にその音を貰ったりと、思いきり職権乱用の時代に突入であります。

いえいえ、直接お会いしたことはありません。そんなこと、恐れ多くて。唯一“接近”したのは、とあるパーティーでの、あの一瞬くらい。至近距離約2メートル。あの時はもう、勝手に心臓バコバコ。自分の立場も仕事も、思いっきりスポ〜ンと忘れて、単なるいちファンと化してしまいました。

あっ、すみません。遠い目、回顧録状態になってしまいまして。

それにしても……
遠い遠いあの南米の空の下、あなたの音楽を初めて聴いた、あの瞬間。あれから何年経つのでしょう。軽く30年は超えていますよね。いやはや、長い長い歳月が流れてしまいました。
その間あなたは、ずっと、第一線で大活躍し続け、そうしてコンスタントに、数々の素晴らしい名作を生み続けてくれています。浮き沈みの激しいこの音楽の世界で、それは物凄いことだと思います。

その曲を聴くたび、その当時その時々の光景が、鮮明に脳裏に浮かび、一瞬にしてその時代へと、タイムスリップしてしまえる。こころにほんわか、温かな明かり灯してくれる。ひとに最大級の喜び、もたらしてくれる。
音楽とは、本当に素晴らしいもの。しみじみ思います。
そうしてあなたの曲たちは、わたしにとり、その代表格。間違いなく。
そうしてそれは、今後とも引き続き、この先もずっと、楽しみにしているもの。

だから、1日も早い復帰を…。
…などと書いてしまったら、音楽&ファンを深く愛している、あなたのこと、きっと焦り慌ててしまうでしょう。
だからここで、それに代わる言葉を…。

ずっと何年も忙しく活動してきたのですから、この期間を、神さまからの贈り物だと思って。どうかゆっくり静養して。しっかり治して。
そうして再び、その元気な姿を見せて。素敵な音楽を、また聴かせてくださいね。

神さまも女神さまも弁天さまも、わたしたちファンもみんな、日々祈っていますから。

だから、絶対に、大丈夫!!

こころをこめて——
あなたの後輩、そうして何よりも、いちファンより

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記事を書いた人

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高校までをカナダと南米で過ごす。現在は、言葉を使いながら音楽や芸術家の魅力を世に広める作業に従事。好物:旅、瞑想、東野圭吾、Jデップ、メインクーン、チェリー・パイ+バニラ・アイス。

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