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レジ袋有料化の是非

まめの木

通訳・翻訳者リレーブログ

先日、某スーパーでレジ袋有料化を実験的に開始した、というニュースを見たとき、思わずテレビに向かって拍手喝采してしまった。しかし同時に、「今ごろ何を…」という気持ちにもなった。
ニュースでは、ごみの減量化、さらには資源節約が目的と言っていたが、ドイツ人並びにドイツで暮らした経験のある者にとっては、こんなこと、今さら是非を問う問題ではないのである。ドイツでは、レジ袋をタダで配るなんて、気の利いたサービスはしてくれない。決して“ケチ”なのではなく、ドイツ人の環境意識は日本人よりもはるかに高く、ゴミ減量化・リサイクルは市民の義務という考え方が社会全体に浸透しているのである。袋を持たずに買い物に出かける者は困って当然、いわゆる“マイバッグ”あるいは“マイかご”持参でスーパーに行くのは当たり前のマナーであると、レジで「袋ください」と言おうものならじろりと睨まれ、ただ一言、「10ペニヒ!!」と渇を入れられたものだ。そのため、スーパーやドラッグストア、デパート等ではロゴや独自のデザインをあしらった布製の買い物袋を売っている。
このニュースを見ていてさらに驚いたのは、テレビのインタビューに答えた人々が、
「5円なら、別に買えばいいんじゃないでしょうか。」
「せめて3円くらいならいいんだけど…」
と言っていたことだ。思わず、昔テレビでやっていた「必殺○○人」シリーズ風に、
「カネじゃねえ、地球の将来がかかってんのよォ〜」
と啖呵を切りたくなった。昨今、地球温暖化がこれほどまでに肌で感じられるのに、こんなのんきなことを言っていてよいのだろうか。こんな低意識では、長生きしようと思って一生懸命食事や健康に気を配ってみたところで、地球の方が先に死んでしまう。
今まで無料だったものに対してお金を取られるのだから仕方ない、といえばそれまでだが、タダでもらえるからといってレジ袋がタダで製造されているわけではなく、燃料も資源もいるのである。ゴミ処理にだってお金がかかるし、二酸化炭素も排出するのだ。問題は値段云々にあるのではなく、消費者側が「買えばいいじゃないか…」という意識のままだったら、レジ袋有料化を導入したところでゴミの減量化、省資源、環境保護には結びつかないということである。また、報道する側も「有料になる」という点ばかりを強調せず、システム導入の意義をもっと明確に伝えなければ、タダでもらえるものは無駄にしてもいい、無料で利用できるものはぞんざいに扱っていいのだ、という公共意識の薄さも変わらないだろう。

我が家では、必ずマイバッグを持って買い物に行く。色々なイベントでもらったものもあれば、10年以上前にドイツで買った袋もある。汚れたら洗えるし、小さくたたんでバッグに入れておけば仕事帰りに買い物するときにも便利である。ゴミも増えないし、袋持参者にはエコ・カードといって、ポイントが貯まると100円還元してくれるカードを発行してくれるスーパーもある。確かにいつもマイバッグ持参でお出かけするわけにはいかないにしても、まずは自分の身近なところから、みんなで“小さなエコロジー”にそろそろ本気で取り組まないと、地球は本当に危ないのではないか、と思った。
(ドイツの布袋、ちょっと汚いですが…)

(小さくたたんで…)

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記事を書いた人

まめの木

ドイツ留学後、紆余曲折を経て通翻訳者に。仕事はエンターテインメント・芸術分野から自動車・機械系までと幅広い。色々なものになりたかった、という幼少期の夢を通訳者という仕事を通じてひそかに果たしている。取柄は元気と笑顔。

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