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炭鉱事故

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 先日のチリでの奇跡の救出の話ではなく、現在、ニュー ジーランドで起きている炭鉱事故について。

 南島西海岸のPike River炭鉱で、19日に爆発事故が発生しました。一酸化炭素中毒で意識を失いかけながらも、奇跡的に脱出した2人を除き、29人の作業員が地下に閉じ込められ、すでに5日が経過しました。
 極めて固い岩盤によって救出活動は難航しており、閉じ込められた17歳から62歳の作業員からの連絡は事故後、途絶えています。
 17歳の誕生日の翌日に初めて働き始めた若者は、ぐれてしまい、学校をドロップアウトした後、心機一転、炭鉱で働くことに決めたとのこと。炭鉱に入るには17歳にならないとだめだったので、誕生日の次の日からはりきって職場に向かった、とのお母さんの談話が紹介されていました。
 昨日のニュースでは、炭鉱会社のCEOが冷静に、でも沈痛に、そして、目の下のくまから、ほとんど寝ていないことがたやすく想像される表情で、救助の難航している状況を説明していました。
 今日の新聞で、このCEOの対応ぶりが高く評価されていました。日本で同じような状況が万が一起きたら、トップが記者会見ですることはまず、深々とお辞儀をして、特には涙を交えながら、感情的に話をすることが多いように思います。
 特に今回は、おそらくこのCEOを始め、役員メンバーが安全面で責任を問われることは間違いありません。それでも、つい先日、初めてのAnnual Meetingを終えたばかりだというこのCEOは、疲れ切った表情でありながらも、受け答えはしっかりしていました。
 昨日は、52秒にわたる爆発の瞬間の映像も公開されました。非常に激しい爆風が坑内から吹き出しているものでした。今日の新聞によると、作業員の家族に最悪の覚悟を決めてもらう意図があっただろう、とのこと。
 新鮮な水と空気を得て、どこかで救助を待っている、という奇跡が起きることを祈るしかありません。

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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