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Violin Week

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 2010年もあっという間に折り返し地点。はやくも7月となってしまいました。ニュージーランドは冬を迎えており、音楽のシーズンです。先週の我が家はViolin Weekでした。
 まず、木曜日にMidoriこと、五嶋みどりさん(ご両親の離婚騒動の時に、英語名は名字を取られたそうです)のコンサートに家族で行ってきました。
 演奏されたのはベートーベンのバイオリン協奏曲。私はベートーベンがとても好きなので、当日が本当に楽しみでした。そして、期待を超える素晴らしいパフォーマンス。さらに、オークランドフィルもバランスの取れた、高レベルの演奏で、満員の会場は、拍手、拍手で大変な盛り上がりでした。
 休憩時間には、なんとみどりさんと握手までしてしまいました。こちらでは、ソロリストが休憩時間にCDを買った人へのサイン会をすることは多いのですが、みどりさんは特にそういう設定はせずに、乞われたらにこにこしながらサインや握手に応じていました。舞台を降りると、とっても小さくてきゃしゃなので、びっくりでした。
 そして日曜日には、娘が人生初のバイオリンのコンペティション(日本では「コンクール」という言い方が多いように思います)に出場しました。好きな曲を選べるもので、娘はヴィバルディのバイオリン協奏曲イ短調第3楽章にしました。バイオリンを初めてちょっとたった子供が発表会に弾く、定番の曲です。
 今年の始めに、「コンペティションに出てみない?」と先生に言われて、目標があるというのはいいことだと、出てみることにしたのはいいのですが、最初は音の強弱(Dynamics)もうまく付けることができず、どうなることやら、という感じでした。地元で開催される本当にこじんまりとした気楽なコンペティションで、たぶん、日本でのレベル・雰囲気とはまったく違うものだと思うのですが、それでも「最下位だったら気落ちするだろうなあ」と心配になるほどでした。
 ピアノ伴奏は私が担当しました。もし娘の楽器がピアノだったら見ているだけで良かったのですが、途中でつまって、娘の足をひっぱたらどうしましょう、バイオリンじゃなくて、ピアノにさせておけば良かった、と私の方が緊張するほどでした。ただ、本番が始まってしまえば、あっという間でした。無事に終わって本当に良かったです。
 私は娘の演奏を聴いている余裕がなかったのですが(伴奏者として失格…)、夫によると、「今までになく、音の強弱もついていて、これまでで一番良かった」とのこと。そして、なんと11・12歳の部で1位となったのです。あ、びっくりしないでください。この部の参加者は娘を含めて3人だったのです。ほかの部は10人ぐらいはエントリーがあったのですが、娘の部はエントリー4人、実際の参加者は3人で、最下位でも3位で賞金がもらえる、という状態でした。
 技術的には娘よりうんと優れた子もいたのですが(控え室での練習の時に、「あの子、すごくうまいー」と娘も感心していました)、その子の演奏は「どう、私、うまいでしょ? ふふん」という感じが私にも伝わってくるもので、なんというか音楽への愛情、思いが感じられなかったのです。それでも、てっきり1位はその子だと思っていたのですが、審査員は技術よりも音楽性を重視した、ということらしく、その子は3位でした。
 とにかく、出場者3人といっても、1位は1位。娘の名前は2010年優勝者としてカップに刻まれることになります。歴代の優勝者の名前には娘の先生、さらには今では有名になったバイオリニストの名前も入っています。いや、めでたい。ということで、その日の夜は、娘の大好物のうなぎをメインにした手巻き寿司パーティーとなりました。
 あと、副産物として、翌日から自分できちんとバイオリンを練習するようになりました。いつまで続くか分かりませんが…。

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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