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大臣に相談!?

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

 日本は参議院選が終わり、永田町がなにやら騒がしい感じですね。一方のニュージーランドの政治は、日本に比べると、かなりシンプルで分かりやすいです。
 国会は一院制で、3年に1回、総選挙があります。現在、労働党が3期目の政権を握っており、かなり労働者寄りの政策(税制、移民、福祉など)になっています。もしこれが国民党の政権となれば、がらっと方向が変わるはずです。
 法律も、あっという間に変わります。そのときの事情に合わせて、柔軟に(場当たり的にともいう)変化したり、新しい法律が出来たりするので、情報収集は欠かせません。
 選挙権は、ニュージーランド国民でなくても、18歳以上で永住権があって、NZに1年以上住んでいれば与えられます。ただ、日本のような戸籍や住民登録の制度がないので、自分で選挙登録を行う必要があります。さらに、選挙権登録は義務なので、選挙権の資格があるのに登録しないのは、罰金となります。
 人口が400万人しかいない国なので、日本に比べると、政治がとても身近に感じられます。例えば以前、NZQAというお役所に、日本で卒業した大学の学位を認定してもらうための申請をした時のことです。半年以上たっても認定書類が届かず、メールを出せば、なにやら日本の大学側のせいにする言い訳が来るだけだし、抗議の手紙を送ってもなしのつぶてでした。
 そこで、CABという無料法律相談所(ボランティアが運営している)に相談に行きました。初老の女性が話を聞いて、「そう、手紙も書いたのに、返事が来ないのね。そういうのは、Phil Goffに相談するのがいいわ」とのこと。Phil Goffというのは、この地域の国会議員で、当時はたしか外務大臣、今は防衛大臣を担当しています。
 「え、Goffさんに・・・」ととまどう私に、女性は、「あら、彼を知らない? それともあなた選挙権がないの? 選挙区が違う?」と聞かれました。「あ、知ってます。選挙権もあります」と答えたら、「じゃあ、彼に相談しなさい、これが彼の秘書の電話番号よ」と慣れた調子でメモを渡されました。
 日本で大臣に相談、というのは一般市民には縁がないように思うのですが、こちらでは、ごく普通のことであり、ましてやNZQAという政府機関に関することなので、なおさらなのでした。
 結局、そのすぐあとになぜかNZQAから返事が来て(危険を察知したのか?)、Goffさんに相談する必要もなかったのですが、この国の政治の身近さを実感しました。
 ちなみにGoffさんは、ウェリントンで国会が開催されていない期間に、トレーラーを付けた車を自分で運転して(すれ違ったことあり)、選挙区を回るという活動もしています。いつもその日程の少し前に、ポストに彼の巡回予定が投函されているので、悩みや相談事がある人はそこに出向けば、Goffさんとトレーラーの中で話をすることができます。
 でもなにより日本の政治と違うのは、選挙カーによる連呼がないことでしょう。あんな騒々しいものがどうして日本では許されているのか、離れてみると、不思議でしようがありません。政策は、印刷物や政見放送で十分理解することができます。名前だけを無意味に騒ぎ立てるあの選挙カーは、無駄であり、迷惑であり、即刻禁止にすべきだと思います!

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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