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岩を動かす

みなみ

通訳・翻訳者リレーブログ

この家に引っ越したのは、2010年11月のこと。それ以来、ずっと気になっていた、庭に鎮座する岩。それが、この岩でした。

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どーん。といっても、写真ではサイズが伝わらないと思いますが、高さが80センチほどで、奥行、横幅がかなりあって、重さは少なくとも150キロはあると思います。周囲は芝生で、庭の一番奥なので、車を入れることはできない場所です。

これが、日当たりのいい花壇のど真ん中に鎮座していたのです。日本風の枯山水でもあるまいし、一体何を目指していたのでしょうか? 娘なんかは、「この下に何か埋めてあるんじゃない」とか、言うし(私もちょっと思った)。

とにかく、この岩がなければ、バラを3本は植えることができます。ずっとどかしたくてしようがなかったのですが、家族の協力を得ることができず(なにしろ大変なことは目に見えている)、くやしい思いをしていたのでした。

ほかにもいくつかこれより小さい岩があちこちに配置してあって(前の住人は石好きだったのでしょうか?)、それはこの数年間で撤去することができました。しかし、この岩は押しても、うんとも、すんともいいません。このまま、あきらめて、オブジェとして受け入れるか、とあきらめかけていたのですが、でもやっぱり、好きになれない。ちっともかわいくない。

そこで、この3月に意を決して、最初で最後の挑戦を開始。まずは少しずつ、こつこつと周囲の土を掘ること数日間。ようやくこの岩の全貌が明らかになった時に撮ったのが、上の写真です。それまでは下部は土に埋まっていて、輪郭が定かでなかったのです。

この時点で、シャベルのてこを使えば、ぐらぐらと動くようにはなっていました。どうやらコンクリートなどでは固めている様子がないので、力さえあれば動かせる、と分かったので、週末に夫に助けを求めました。

夫は、「ふーん」と言って、うんしょ、と、この岩をバタンと倒しました。そして、倒した後に、「動かせない」というのです。なんとー。それでは、占拠してる面積が増えただけではないですかー。「パシフィック系の大きい男の人3人来てくれないと、こんなの無理ー。あきらめなー」と彼は言い捨てて、さっさと家に入ってしまったのです。悲しみにくれる私。どうやら、便利屋さんか、庭関係の職人さんに来てもらうしかないでしょう。

その日は祭日だったので、翌日にどこか探そうと思っていると、夕方、ドアをこんこん、とノックする音。出てみると、まさにパシフィック系の若いお兄さんがにっこり微笑んで、「木を切りませんか?」 この国では、木こり仕事の押し売りは、よくあるのです。彼は、例の岩の横にある木を指して、あの木は根が伸びるので、家に良くない、ということを一生懸命説明します。確かに、私も岩周りを掘っている時に、長い根が伸びていて、気になっていたし、バラを植えるにもあの木は邪魔だとは思っていました。このお兄さんに、あの岩を動かしてもらえるチャンス到来!!

しぶる夫を説得して、木を切ってもらうついでに岩を動かす(私的には岩を動かしてもらうついでに、木を切る)ことで交渉成立。さっそく、まずは、じゃんじゃん木を切ってもらいます。

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チェーンソーを持つお兄さんを見守るのは、お父さん。木こり仕事は、パシフィック系の人たちが家族ぐるみでやっていることが多いのです。このあと、もう一人、ボス的な人がトラックでやってきて、まさに、パシフィック系の大きい男の人が3人、揃ったのです!

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1時間ほどで、木は倒されました。根を掘り起こしてもらうのは追加料金が掛かるので、切り株にオイルを注いで、枯らすことに。

ほかにも、大風が吹いた時に半分もげかかっていた高所の大枝をはしごに登ってカットしてもらったり、切った木を暖炉用にカットしてもらったりして、作業が終わった時には、日が沈んで暗くなっていました。費用は、全部で600ドル、日本円で6万円弱でした。もちろん安くはないけれど、自分たちではなにか道具を手配しない限り、岩を動かすことは無理だったし、ついでに木もすっきりして、おまけに薪も出来て、満足、満足。ちなみにNZでは、こういう時は小切手で支払うので、持ち合わせの現金がなくても大丈夫。

肝心の岩を動かすところは、私はせっせと裏に薪を運んでいて、夫しか立ち会っていなかったので、見ることができませんでした。花壇から出すのは3人がかり、芝生の上をうんせ、うんせと押すのは、お兄さんが一人でやったそうです。

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岩があった場所がこんなふうに空きました。

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1メートルほど動かして、花壇から出してもらった岩は、こちら。

ちょうど今、ニュージーランドは、バラの苗をナーサリーに注文する時期を迎えています。この場所に植えるバラを何にしようかなー、とあれこれ楽しく悩み中。今、注文すると、真冬の6~8月に苗が到着します。それまでに、残っている木の根っこを取り払い、土をふかふかに掘り起こしておかないと。庭いじりって、かなり体力が必要で、いい運動になるのです。

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記事を書いた人

みなみ

英日をメインとする翻訳者。2001年からニュージーランドで生活。家族は、夫(会社員)、娘(小学生)、ウサギ(ロップイヤー)。

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