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休暇中

トナカイ

通訳・翻訳者リレーブログ

月曜日から休暇をいただき、バルト3国のうち一番南にある国、リトアニアの西岸部のリゾート地ニダ(Nida)に来ています。
ニダは、ヨーロッパ最大の砂丘があり、ユネスコ世界遺産にもなっているクルシュー砂州国立公園内にあります。また、この地方にはもともとバルト族が住み着いていましたが、中世から20世紀前半までは、いわゆるドイツ文化圏にありました。その関係で、現在でもドイツからの観光客が非常に多いところです。また、ソ連時代はいわゆる特権階級の保養地だったため、手付かずの自然や昔ながらの漁村の面影が破壊されることなく保存されてきました。

まず、地図で立地をご確認ください(地図は、ぜひ拡大したり、縮小したりしてみてください!)。
http://pininthemap.com/3c90f8411035aabc0

ヘルシンキからここまでは、自家用車で来ました(タリンまでは車を積んでフェリー、その後陸路、リトアニア本土の最寄の街クライペダからは自動車ごと運ぶ渡し舟で砂州に移動)。私たちは子連れということもあり途中エストニアやラトビアで一泊するのですが、数百キロ程度の距離ですので、がんばれば一日でも移動は可能です。

この地域のポイントの一つは、何といっても自然の造形美です。
まず、砂州の東側になる内海・・・水平線が視界いっぱいに広がる、稀有な景観です。

そして、内海の反対側、砂州の西側はバルト海に面しています。真っ白の砂浜がどこまでも続きます。

町の中心や内海の沿岸には、20世紀初頭のかわいらしい漁師の家が残っています。多くは文化財として保存されており、旅行者のための宿泊施設になっているものも少なくありません。

そして、「北のサハラ」とも呼ばれる砂丘・・・ロシア(カリニングラード地方)へと続いています。

砂丘にはもちろん登ることもできるのですが、日中の写真を見ての通り、現在、ニダも例年にない異常な暑さなのです。日中、砂丘のエリアは砂が焼け付くように熱くなっていると思われ、危険でさえあるので、今回はまだ行かれずにいます。写真は夜8時出発の内海クルーズで外観を撮ったものです(水上なので少しは涼しいだろうと思っていたのですが・・・期待は見事に裏切られ、船上も暑かったです)。

筆者がこの地に魅せられたのはまだ前世紀の頃で、当時は日本で会社員をしていました。半ば強引に長めの夏休みをとってここに来たのは9月初旬。シーズンはもう終わっていて、町はひっそりと静まりかえっていました。ドイツの文豪、トーマス・マンがこの地を気に入って建てた別荘を見学したり、ルーテル教会の裏手にひっそりと立つ、異教時代を思わせる墓標のある墓地を訪ねたり・・・そして、砂丘から内海を見下ろしたときに思ったことは「何て遠くに来てしまったんだろう」ということでした。

そしてこの頃は、数年後の自分がフィンランドで家庭を持って暮らすことになるなど、想像もしていませんでした。
そんなこともあって、あの風景の前で自分の立ち位置をもう一度確かめたい、という気持ちから久しぶりにこの地を訪れてみたくなりました。カメラ、スケッチブックにクレパス、とうてい読破できない量の本、編み物・・・カバンにもいろんなものを詰め込んできたのですが、実際のニダは現在シーズン真っ盛り、人も大勢いて、そして暑い、あまりにも暑すぎる!とてもロマンを感じている余裕などないという状況です(笑)。
結局、一番涼めるのはビーチで海水浴という選択肢のようで、子供にせがまれるままに朝から泳ぎに出かける毎日。超インドア人間の筆者にとって、正直海水浴はそれなりに異文化体験ですが・・・

でも、この際小さな拘りは捨てて、現実という熱い直射日光の中で、日焼けよろしく健康的に一皮むけるのもまた一興、ではないかと思います。
せっかくの夏休みですから、最後まで楽しんで、リフレッシュして帰りたいと思っています。
皆様もよい週末を。

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記事を書いた人

トナカイ

フィンランド・ヘルシンキ在住の多言語通訳・翻訳者。日本で金融機関に勤務の後、ヨーロッパへ。留学中に大学講師を務め、フィンランド移住後は芸術団体インターンなどを経て現在にいたる。2児の母。

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