BLOG&NEWS

子供は見ている

パンの笛

通訳・翻訳者リレーブログ

 息子は週に何回か、ピアノやスイミングなどのお稽古事に通っています。去年通っていた学童保育は、学童→お稽古→学童、そして夜に親が学童までお迎え、というシステムが可能だったので、息子がお稽古事をしていても私の仕事とはまったく関係がなかったのですが、今年から新たに通っている市の学童(モドキ)は、なぜか一旦学童から出てしまったらもう戻るのは禁止という制度があるため、以前のように便利なお願いはできなくなってしまいました。そのため、息子はお稽古のある日は授業が終わったらまっすぐ家に帰ってきます。その時間、およそ3時ごろ。正直言うと、その時間帯は一番仕事がはかどっている時間帯…。午前中のなんとなく波に乗り切れない感覚も、お昼を食べた後の眠気も消え、今日はあとどのくらいの量をこなさなくてはならないかがわかって、現実的に作業を進めている時間帯なのです。とは言え、息子が帰ってきているのに玄関にも出ないのではあまりにもかわいそう、ということで、息子が帰宅したときには一旦手を休めることになります。でもでも、悪あがきで、「お帰り〜」と出迎えて、牛乳一杯とおやつをちょっとあげたら、もう一度蟄居して仕事をしたいのです。あぁ、なのに。息子は大抵クラスの男の子の友達をぞろぞろ引き連れて帰り、挙句にはなぜかその友達が毎日、我が家で「お水くださーい」と給水タイムを取るのです。うーん。我が家は結構学校から近く、ちょうどその子たちは我が家で一旦休憩すれば、残りの道のりも元気に帰宅できる、ということなのでしょう。でもねー、私は仕事に戻りたいのよー、せっかく波に乗ったのよー、と思い続けていました。ある日、その男の子たちの一人が、「ぼくたちは○曜日と○曜日はお稽古があって、△くん(我が家の息子の名)と一緒に帰ってくるので、毎週お水もらいに来ます!」と宣言。ちょっとさすがに絶句して、「ええーー、そんな欠かさず来なくてもいいのよ!」と喉まで出かかったその瞬間、息子が「いいよ、いいよ、遠慮しないでどんどん来てよー。僕がいないときも寄ってもいいよー。」などと言い出したのです。さすがに呆気に取られて息子を見やると、息子は何だか得意げ。そこでハタと思いました。去年までは毎日毎日学童に行っていたから、「ちょっとウチに寄ってもいいよ」ということができなかったけど、今年になったらそれができるようになった息子。自分の家やお母さんを友達に見てほしい、と言う気持ちもあるはず。そこで自分の友達を歓待してあげられれば、何だか嬉しく誇らしい気持ちになる、というのが伝わってきたのです。ついつい自分の仕事にばかり意識が行ってしまって、そんな息子の気持ちに気付いてやれなかったことを、つくづく反省しました。そして、もう一つそこで思い出したこと。それは自分が息子の年齢だった頃でさえも、かなり大人の様子を良く観察しては、子供ながらも「あぁ、この大人は今自分をあまり歓迎していないな」とか、「この大人は本当に子供を温かく迎えようとしているな」と考えていたのを思い出したのです。私がこんなにギスギスと、ちょっとした時間を惜しんで、息子の楽しみもお友達からの信頼も奪ってしまっていたのでは、何もいいことはないなー、と気付いたのです。まぁ、時によっては1分を争うほど切羽詰っている日もないワケではありませんが、基本的には自分で上手に調節できるのが今の私の立場の醍醐味。そこで10分ロスしたからといって、今晩徹夜になるわけでなし。ちょっとは子供の世界にも入れてもらわなくちゃなー、と思ったのでした。こういうとき、本当に在宅で仕事ができて良かったな、と思うのです。でも、それもこれも在宅でも仕事をくださっている周囲の方々のおかげ。本当に感謝、感謝です。

Written by

記事を書いた人

パンの笛

幼少時に英国に滞在。数年の会社勤めを経て、出産後の仕事復帰を機に翻訳を本格的に学習。現在はフリーランスの在宅翻訳者。お酒好きで人好き、おしゃべり好きの一児の母。

END