BLOG&NEWS

別れの春、出会いの春

パンの笛

通訳・翻訳者リレーブログ

 春ですねぇ。ちょっと油断している間に桜も満開を過ぎてしまいましたが、それでもまだ、我が家の近所の桜並木はとても美しく咲き誇っています。でも、今年はそんな桜も寂しく見えてしまいます。息子は1歳を過ぎた頃から保育園に通い、小学校に入ってもその保育園に併設の学童保育室に通っていました。その園の存在は、私たち家族にとってはまるで空気のように、「あって当たり前」の場所で、家の次に家族がもっとも頻繁に出入りし、また心を寄せていた場所でした。でも、市の政策がここ数年で大きく変わり、私立の学童保育には補助金が出なくなり、結局3月一杯で学童保育室は閉室、そして保育園本体もこれまでの私立から公立保育園へと転身を遂げました。いずれはこの日が来るのはわかっていましたが、あまりにも早い展開に、子供のみならず親のこちらまでもが狼狽気味です。思えば、毎日毎日息子と家で二人っきりで息が詰まりそうになって仕事を探し始めたあの頃、季節外の入園にもかかわらず温かく迎えてくれたのが、あの園でした。先生方がとても熱心で、いつも笑顔で「お母さん、行ってらっしゃい!」 「お母さん、お帰りなさい!」と迎えてくれて、その笑顔を励みに仕事にも力が入ったものでした。息子の手を引いて保育園に歩いていった雪の日、私が坂道で転んでしまったのを見て、まるで子供にするように手当てをしてくれたのも、若い元気な先生でした。園の先生方、クラスのお友達、そしてそのお父さんお母さんの仲間という、たくさんの人たちに支えられて、今の息子が、そして今の私があることを実感させてくれます。あの時園が温かく息子を迎え入れてくれなかったら、今こうして日々翻訳をしている私はいなかったのです。そうして育ててもらった我がファミリーは、今度は園の庇護のない場所へと旅立たなくてはいけないんだ、とやっとどうにか実感が沸いてきました。きっとこれからもたくさんの人にお世話になり、お互いに切磋琢磨しながら生きていくことになると思います。家族としての最初の時期にあの園に出会えたこと、他者の存在がどんなにありがたく、温かいものかを教えてくれた園に、深く、深く感謝したいと思います。息子が他者との信頼関係と愛情を信じる少年に大きく成長し、私が仕事に没頭できる環境を与えてくれて、本当にどうもありがとう。息子は新学期からは市の学童保育に通います。賛否両論の学童保育ではありますが、園で得たものを財産に、また新しい人たちとかかわりあって、きっとまた一段と成長してくれるのではないかとちょっぴり期待もしています。息子のみならず、私も成長しなくては!

Written by

記事を書いた人

パンの笛

幼少時に英国に滞在。数年の会社勤めを経て、出産後の仕事復帰を機に翻訳を本格的に学習。現在はフリーランスの在宅翻訳者。お酒好きで人好き、おしゃべり好きの一児の母。

END