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千里の道も一歩から

パンの笛

通訳・翻訳者リレーブログ

 夜明けの来ない夜はない。どんな仕事もやがて終わる日が来る。新しい仕事に着手するたびに念仏のように唱えているこの台詞。普段仕事をいただく際には、大体の分量と内容とを踏まえて、「これなら○日間でできそう」「これだったら、あの仕事の前にまずこちらを完成させて、次にあっちにじっくり時間をかけなくちゃ」などと、頭の中でジグソーパズルのようにシミュレーションをしてからお仕事をお請けしています。ですが、稀に想定していたよりも内容が複雑だったり、調査に時間がかかったりすることがあります(もちろんその逆で思ったよりずっと早く終わるときもありますが)。そうなると、頭の中は軽いパニック状態です。想定していたジグソーパズルのパーツが当てはまらないとなると、その仕事のみならず、その後に控えている別の仕事すべてにも影響が生じてしまいます。頭はフル回転になって、「どうやったらこれを想定した時間内に、きちんとしたクオリティで仕上げられるか」ということばかり考えてしまいます。でも、どんな仕事もそうだと思いますが、翻訳にも決して抜け道はないのは、本当は百も承知です。何かをすっ飛ばして早く仕上げて、満足行く品質に仕上がるなんていうことは絶対にありません。結局どんなに複雑でも、どんなに調査に時間がかかっても、一歩一歩、前進するしかないのです。時には苦しい苦しい一歩も、その一歩を積み重ねていけばやかて頂上が見えるのです。今宵も夜が更けてゆくなか、「よし、さっきより2ページ進んだ。あと10ページ!」と自分を鼓舞しています。でも、こうして苦しんで仕上げた仕事ほど、後になって思い入れが強かったりするものです。以前知人で、「会社で徹夜で仕事をして、皆で朝日を眺めると、青春を感じちゃいます」と言った人がいました。私は一人で仕事している分、青春は感じませんが、また新しいチャレンジに打ち勝ったという爽快感はひしひしと感じています。さぁ、今日もその言葉を胸に、一歩一歩、一語一語、筆(キー!?)を進めたいと思います!

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記事を書いた人

パンの笛

幼少時に英国に滞在。数年の会社勤めを経て、出産後の仕事復帰を機に翻訳を本格的に学習。現在はフリーランスの在宅翻訳者。お酒好きで人好き、おしゃべり好きの一児の母。

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