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文字通り「オイシイ」仕事

昼顔

通訳・翻訳者リレーブログ

今週はNYCのJavits Convention Centerにて”International Restaurant & Foodservice Show of New York”が開催されました。

この展示会場はかなりの広さですが、レストランやフード・サービス業界に関連するブースが一斉に並び、昼時など「ここはデパ地下ですか?!」と思う繁盛ぶり。日本エリアも例外ではありません。

民間企業のみならず、地元産業を振興させたい地方自治体とも上手く連携し、官民一体となったブロックでの人ごみはおそらくどのエリアよりも混雑していました。いまだに日本食がブームであることも追い風になっているようです。

日本ではまだ駆けだしの通訳者だった頃にこういう展示会の通訳のお話を頂いたことがありますが、業界が「DIY」とか「ナノテク」など個人的にはあまり興味がなく、必然的に終始仕事モードで取り組んだ想い出があります(笑)。

でも今回はなんといってもテーマが「食」ですから、食いしん坊の私が張り切らない訳にはいきません!いつもどこからか素敵な鼻腔をくすぐる香りが漂ってくるものですから、時間があるといつも周りをうろついてました。

実際、ランチ休憩などは展示会場以外に行く時間もないため、各ブースを廻り、バーガーやハム、チーズ或いは豆腐を食べ、アイスクリームをもらい、最後に日本茶を飲み、満腹になって午後に臨んだほどです。地元ビールやワインのブースもありましたが、さすがに仕事中ですのでアルコール類は遠慮しておきました。

また特定の出品商品を使い、有名シェフを招聘しての料理講座もかなりの人気です。最近とみに感じるのが、ようやくアメリカでも自分で料理する(できる)ことに価値を見出す土壌が育まれていることです。まだプロであるシェフ層と主婦層では隔たりがあるのは否めませんが、それでもFood Channelなど料理専門番組はかなりの視聴率を獲得しています。おそらく景気低迷でお財布の紐が固くなったことと健康志向であることが人々を厨房に向かわせるのかもしれません。

また料理番組から生まれたセレブ・シェフは料理業界の枠を超えてもてはやされています。

その1人となるだろう将来の有望株であるTylor Stone君。彼へのインタビューの通訳に入ったのですが、若干21歳ながらも地元カリフォルニアではTV番組にも出演し、シュワルツネッガー知事の料理を担当したこともある彼。高校卒業後すぐに料理本を出すなど、これから注目のシェフであることは間違いありません。マネージャーでもあるお母様ともお話したのですが、10代前半で自分の進むべき道を決め、自分なりにこの料理業界での使命も感じている息子に誇りに思うとのこと。こういうひたむきな姿勢を持つ方々の通訳に入るのは私にとっても光栄なことでした。

今回のお仕事では、他業界ながらもシェフや職人のプロ根性に触れ、自分の姿勢を見直すいい機会になりましたし、なんといっても各国の多種多様な食べ物を試食できて、文字通り「オイシイ」お仕事でした♪

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記事を書いた人

昼顔

外資系金融、在ジュネーブ日本政府代表部での勤務を経て、外務省職員として採用。帰国後は民間企業にてインハウス通訳者としてキャリアを積み、現在は日英仏フリーランス通訳者として活躍中。昨年秋からはNYに拠点を移す。趣味は数年前から再び始めたバレエと映画鑑賞と美味しいモノの食べ歩き。

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