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Veteran Day (服役軍人の日)

昼顔

通訳・翻訳者リレーブログ

11月11日はアメリカではVeteran Day(服役軍人の日)と祝日に定められています。もともとは第一次世界大戦の終結となった休戦条約がこの日に締結されたためです。

ニューヨークでもこの日に5番街に彼らの功績を称えるパレードがありますし、街でも軍服姿の少し齢を重ねたおじいちゃま達の姿とちらほらとお見かけしました。

ただこのVeteran Dayに関して、何とも言えない気持ちになるエピソードをつい最近聞きました。それは、私と同様に夫の転勤でコネティカット州に住んでいる大学時代の友人の体験談。

地元の小学校に通うお嬢さんはまだ英語がよく分からないので、宿題なども母と娘の二人三脚で取り組む日々を送っているとのこと。学校側もそのあたりは心得てかなりのサポートを施してくれるものの、やはり授業中はついていくのにかなり大変です。そういう状況下では隣席の子たちから答えを教えてもらっているようです。

ある日、Veteran Dayを前に服役軍人にお礼の手紙を書くという授業がありました。まだ小学校低学年の彼女にとって「戦争」も「服役軍人」もまったく未知の世界の中、いつも通り、隣の女の子が書く文章をそのまま写して帰宅しました。

そしてまたいつもの通り、母娘で宿題の確認をしたところ、友人は目にしたその内容に驚愕したそうです。それは「退役軍人のみなさん アメリカを悪い日本から守ってくれてありがとう。私たちが平和に暮らせるのは、英雄である軍人さんたちが、爆弾を悪い国に落としてくれたからです」という具合。

お子さんはJapanという単語は分かるものの、なぜこの局面で自国の名前が出てくるのか因果関係が判らず、無邪気に母に質問してきます。この年齢の子供に対して、何をどういう風に説明していいか…と暫く悩んだそうです。

結局は歴史としての事実を話すとともに、日本に爆弾を落として負かしたから軍人のおじさんたちが偉いのではなく、自分の国を守ったことが称えられていること、今も完全には平和ではなく世界じゅうで多くの戦争や紛争があること、相手と違う意見だからといってすぐに武力や暴力に訴えるのはよくないこともあわせて伝えたということです。

色々と考えさせられたVeteran Dayでした。

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記事を書いた人

昼顔

外資系金融、在ジュネーブ日本政府代表部での勤務を経て、外務省職員として採用。帰国後は民間企業にてインハウス通訳者としてキャリアを積み、現在は日英仏フリーランス通訳者として活躍中。昨年秋からはNYに拠点を移す。趣味は数年前から再び始めたバレエと映画鑑賞と美味しいモノの食べ歩き。

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