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国連本部って…

昼顔

通訳・翻訳者リレーブログ

火曜日担当「さるるん」さんのキャラ設定までのプロセス、裏話を楽しく読ませていただきました。色々と皆さん、自分のキャラとイラスト選びに苦労されていますね。でも、選択肢がさるとカメだけとは…。

私の時は反対にイラストの候補がありすぎて逆に迷ってしまい、最終的に「腹ぐろパンダ(←勝手に命名)」か「昼顔」の2候補に絞りました。ただ、これって真面目なブログ・リレーでしょうし、他の方とのバランスも考え、安全策の「昼顔」にしました。

さて、私にとって今回が初めてのブログ記事ということで、テーマは少しきちんとしたものにしますね。

「国連決議の限界」なんて書くと、どーっとひかれちゃうかもしれないので、声高には語られないものの、つい眉を顰めてしまう国連本部でのある実態について書いてみようと思います。

国連本部内の地下には“Vienna Cafe”と呼ばれるちょっとしたカフェがあります。ここが敷地内の他のカフェと違う点は、禁煙の国連本部の中で、事実上、喫煙者が堂々と煙草を楽しめる場所ということ。

地下に降りるとすごいことになっています。煙がもくもくと立ち昇り、その煙で目がしみるほど。全く煙草を吸わない私としては、ここは息を止めて走り抜けるか、さもなければ確実に第2次喫煙率が上がってしまう魔のスポット。

禁煙マークの表示されている傍らに、テーブルの上に灰皿があるんですから、まるで矛盾だらけの国際状況みたいです。

御参考までに、国連があるNY市では(建物内での)職場の喫煙は法律で禁止されています。この状況を知っているアメリカ人などは「NY市にあっても、あそこ(国連)は一種、治外法権だもん。まぁ、仕方がないね」と完全禁煙に最初からあきらめムードのようです。

それでも国連本部内の禁煙の動きには紆余曲折が。
時は遡ること2003年。当時の国連事務総長だったKofi Annanが国連の建物内での禁煙を発表します。ですが、各国の国連代表部、外交官の面々がこぞって反対・抵抗し、結局、Vienna Cafeに立ち上る煙もそのまま。

しかし、その後もAnnan事務総長、こんなことではくじけません(ノンスモーカーだったのかしら?あるいは苦労して禁煙したとか?)。

直々に国連職員に対して敷地内禁煙に関するメモを出し、敷地内にポスターを貼り、2006年には国連経済社会理事会(ECOSOC)で国連の禁煙決議案を採択まで持ち込みます。結果は、お察しの通り、状況は全く変わらず。やっぱり拘束力がないからかしら?

子供のときに「みんなで決めたことはきちんと守りましょうね!」と教えてもらったはず。

国連そのものがこの程度の決議をしかも本部内で守らせることができないんですもの。イスラエルやハマスが戦地での停戦決議をおろそかにするのも仕方がないと思うのは私だけでしょうか?

Written by

記事を書いた人

昼顔

外資系金融、在ジュネーブ日本政府代表部での勤務を経て、外務省職員として採用。帰国後は民間企業にてインハウス通訳者としてキャリアを積み、現在は日英仏フリーランス通訳者として活躍中。昨年秋からはNYに拠点を移す。趣味は数年前から再び始めたバレエと映画鑑賞と美味しいモノの食べ歩き。

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