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「職業:通約」

背番号8

通訳・翻訳者リレーブログ

最近やっと自分の職業を聞かれても抵抗無く「通訳です」と言えるようになってきました。数年前までは言い訳がましく「えーと、通訳みたいなことをやってます」とかもごもご言ったりしていたのですが。ただし先日フットサルをやっていた際に砂に足を取られてすっ転び後頭部を強打、私本人は「大丈夫!」と言い張ったもののその瞬間響き渡った鈍い音に周りがびびりそのまま近くの病院まで連れて行かれました。緊急とは言え受付表は一通り記入しなくてはなりません。名前、住所、職業…「あっ」。なぜか職業の欄に書いたのが「通約」。それを見て「ああやっぱり打ちどころが…」と顔色を変える付き添いの友人。

とは言え正規の「通約学校」もとい「通訳学校」に通ったことがないので基本的に全てOJTです。幸いにも(?)最初に手伝いをしたのが海外の通信社日本支部だったのでありとあらゆるジャンルを経験させて頂きました。政治、経済、テクノロジー、スポーツ、エンターテイメント…今思うと怖いもの知らずだったからこそできたのかも。もちろん地味(と言うと語弊があるかもしれませんが、いわゆる「固い」内容)な取材も沢山ありましたが時にはとんでもないリクエストも出ます。

ある日担当記者が「どうしても日本のあの特殊な車を取材したい」「?(首をかしげる)」「ほら、あの音楽鳴らしながら走る黒い車」「….(数秒思案)..あ!」街宣車ね..。確かにあれを初めて見た外国人(しかも記者)は興味を持つだろうなあ。なんとかアポを取り付け(ええその時はコーディネーターもやっていたんですとも)某繁華街の裏の某事務所にお邪魔してまずはご挨拶。広々した畳のお部屋で床の間には掛け軸の様な旗の様な立派なものが(←緊張してるのであまりじろじろ見れない)。しかし基本的には皆さん真面目なのです。すごく本気なのです。日本の将来を心配されているのです。が、トップの方の大学生の娘さんの話になった時だけふと「いやあこんなところ危なくて連れて来られないよ〜」と素に戻っていましたが。そしてもちろん乗せて頂きましたとも、街宣車。担当記者大喜び。中はある程度座席をとっぱらっちゃって居住空間を広くした小型バスという状態。窓はいわゆるスモークガラス。真ん中には音響システムの機械もろもろ。ほう中はこうなっていたのかーときょろきょろと感心している私に「音楽もかけようか?」とにこにこと大変親切に聞いてくれるメンテ/運転担当の若い衆。「…(しばらくフリーズした後)ええと、今日は結構です」。後でこの話をしたところ「もったいない!」(?)と友人に叱られました。チキンですまん。なんなら曲のリクエストまでするべきでした。そして若い衆はかけそばなのに私達だけ天麩羅そば(海老天入り)を取って頂いてあの際は本当にありがとうございました。関係者の方々…。

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記事を書いた人

背番号8

イギリスに長期留学後、インハウス通訳者として数社に勤務。現在は、フリーランス通翻訳者として活躍中。若手通訳有望株の一人!

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