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第113回 五月病かなと思ったときに思い出す詩

にしだ きょうご

今日をやさしくやわらかく みんなの詩集

五月病。

新しい環境に適応しようとする中で、心と身体の不調を感じてしまうことがあります。

五月病かなと思ったら、 この詩を読もうといつも思います。

*****

That’s The Way
Ella Wheeler Wilcox

Just a little every day—
That’s the way!
Seeds in darkness swell and grow,
Tiny blades push through the snow;
Never any flower of May
Leaps to blossom in a burst,
Slowly, slowly, as the first,
That’s the way.
Just a little every day.

Just a little every day—
That’s the way,
Children learn to read and write
Bit by bit and mite by mite,
Never any one I say
Leaps to knowledge and its power;
Slowly, slowly, hour by hour,
That’s the way!
Just a little every day.

*****

そういうものだから
エラ・ウィーラー・ウィルコックス

まいにちすこしずつ
そういうものだから
たねはまっくらやみで
ふくらみおおきくなる
ちいさなはっぱは
ゆきをかきわけのびる
ごがつのはなばなは
いきなりさきはしない
ゆっくりゆっくり
さいしょはだれだって
そういうものだから
まいにちすこしずつ

まいにちすこしずつ
そういうものだから
よみかきをみにつける
こどものように
すこしずつすこしずつ
すぐにはできないよ
わかりましたなんていえないよ
できましたなんていえないよ
ゆっくりゆっくり
ほんとうにゆっくりだから
そういうものだから
まいにちすこしずつ

*****

こんな風に言ってくれる同僚や友人や先生がそばにいたら、どんなに心強いだろうと思います。

Just a little every day—
That’s the way!

まいにちすこしずつ
そういうものだから

「大丈夫だよ」と肩を優しくたたいてくれるかのように、毎日少しずつ学んでいけばいいという言葉が繰り返されます。

何よりもグッとくるのはこの箇所ではないでしょうか。

Seeds in darkness swell and grow,
Tiny blades push through the snow;

たねはまっくらやみで
ふくらみおおきくなる
ちいさなはっぱは
ゆきをかきわけのびる

さまざまな環境の変化があって、頭と心はそれを処理しようとするわけですが、一つ一つを飲み込んでいこうにも、飲み込めないことが一つまた一つと増えていくうちに、心も身体もうまく働かなくなってしまう。

そんなときは、自分の力のなさや出来なさという感覚に襲われて、真っ暗闇にいるような感覚になったりもします。日々、学ぶことが雪のように降り積もっていき、自分という存在が埋もれてしまうような、自分は何の役にも立たないちっぽけな存在だと感じてしまったりもします。

しかし、真っ暗闇の土の中にいるのは、花や木へと伸びていく種子であり、自分を埋もれさせている雪をかき分けて伸びるのは芽なのです。

*****

今回の訳のポイント

新しい環境に身を置くと、少しでも早く、少しでも多くのことを身に着けて、少しでも自分なりの考えを表現できるようになりたいと思い、焦ってしまいがちです。

そんなとき、この言葉が胸に響きます。

Never any one I say
Leaps to knowledge and its power;

すぐにはできないよ
わかりましたなんていえないよ
できましたなんていえないよ

何も知らない、何もできないというところから、一気にLeaps「ジャンプ」して、知っているとか、それを力として発揮できるというところにはもっていけません。

芽が伸びる姿は瞬間ごとに確かめられません。しかし、5月の陽に暖められたり雨に濡れたりして芽が目が伸びるように、失敗したり成功したり、泣いたり笑ったりしながら、私たちは経験を積み重ね、成長します。

土を濡らす雨のように、ちょっと泣いたら、また気を取り直して、この芽はどんな花を咲かせるのだろうかと楽しみにしていればいいのだなと、勇気が湧いてきます。

 

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Written by

記事を書いた人

にしだ きょうご

大手英会話学校にて講師・トレーナーを務めたのち、国際NGOにて経理・人事、プロジェクト管理職を経て、株式会社テンナイン・コミュニケーション入社。英語学習プログラムの開発・管理を担当。フランス語やイタリア語、ポーランド語をはじめ、海外で友人ができるごとに外国語を独学。読書会を主宰したり、NPOでバリアフリーイベントの運営をしたり、泣いたり笑ったりの日々を送る。

END