INTERPRETATION

第148回 番外編:子育て真っ最中の方へ

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。1カ月の一時帰国を終え、やっとイギリスに戻りました。6月末から出張やホリデーで3~4泊ずつ移動するジプシー生活が3カ月弱続いていたので、自宅に戻りホッとしています。

さて、今月は「番外編」と称して個人的な視点から大学進学と関連した内容を取り上げてきました。今回は1カ月続いた番外編の最終回として「子育て真っ最中の方へ」メッセージを送りたいと思います。

9月22日、ついに次男が巣立ちました。新しい生活への不安よりも期待で胸を膨らませている息子を見送るのは、寂しさももちろんありますが、ここに到達したことへの喜びもいっぱい感じています。

実は、2年前に長男を見送った後はこんな余裕はありませんでした。大事に育ててきた子が遠くに行ってしまったことが寂しくて寂しくて勝手に出てくる涙を止めることができず、まるで大失恋した後のように、心にぽっかり大きな穴ができて、何をしていても(どんなに仕事が充実していても)喪失感をぬぐうことができなかったのです。ただ、数週間後に再会したり、クリスマス休暇が1カ月、イースター休暇が1カ月、夏休みが3カ月と休暇ごとの帰省が繰り返されると自然に気持ちが収まりました。

子供が旅立つ年齢になって思ったのは「一生続くと思っていた子育てだけど、意外に短かったな」ということです。もちろんこれは今だからこそ言えることで、次男が生まれてからの数年、二人のおむつ交換(「おむつ」はイギリス英語ではnappy/nappies)、オムツはずし(toilet training)、魔の二歳(terrible twos)などに直面している間は出口の見えない長い長いトンネルの中にいるように感じたこともあります。けれども、今になって思えば、人生80年、最近では100年とも言われる中でほんの20年程度、5分の1なんだ!ということです。

大学院やグリンズアカデミーの受講生の中には小さな子供がいて時間のやりくりに苦労しながらも勉学に励んでいる人がかなりいます。「学びたいけど、子育てで時間が取れない」とフラストレーションを抱えている人も珍しくありません。本コラムをお読みの方の中にも多いのかもしれません。

今日は、そういう皆さんへメッセージを送りたいと思いました。

子育て真っ最中の皆さん、子供が言うことを聞いてくれないとつい腹が立って声を荒げてしまいませんか?

通訳トレーニング(または翻訳作業中、通訳準備中)に子供にじゃまされるとイラっとしませんか?

フラストレーションを感じる気持ち、とってもよく分かります。

でも、私が子育て真っ最中のときは気が付かなかったけれども、トンネルの中にいるように感じるときは思いもつかなかったけれども、子育て期間って意外に短いんです。

だから、その期間の1日1日、1分1秒を大切にし、出来るだけ楽しんで子育てしてほしいなと思います。I hope you’ll enjoy your parenting every single day! Enjoy every minute, every second, because it goes so fast.

私が子育てと仕事(勉強)を両立させるうえで気を付けてきたことを紹介します。

  1. 机に向かっているときに子供が入ってきたら、絶対に「後で」とは言わず、何を求めているのかを聞いてあげる(なるべく笑顔で)。ただ膝の上に座りたいだけだったとすれば座らせてあげる。(20歳、186㎝、体重90㎏の長男は今でも膝の上に座りに来ます。苦笑)
  2. 仕事の量は子育てと両立できる程度に抑える。プライオリティは1に家族、2に仕事。
  3. 子供の要求になるべくNoではなくYesと答えられるようにする。Noの場合は、理由を説明する。
  4. 簡単なものであっても出来る限り生の食材を使った料理をする。イギリスでは電子レンジやオーブンで加熱すればいいだけのprepared foodと呼ばれる加工食品がスーパーに並んでいますが、加工食品や食材の分からないもの(mystery food)は避ける。
  5. 子供との会話を大切にする。バイリンガル教育にこだわらず、コミュニケーションを優先。
  6. なるべくプラスの言葉を使う。例えば「宿題やらないとゲームしちゃダメ(You can’t play games until you finish your homework)」ではなく「宿題やってからゲームしよう(Finish your homework, then you can play games!)」。「こんなこともできないの (Why can’t you do this)?!」ではなく「これができるといいね (Great if you can get this done)♪」
  7. 小学生のころ(8~9歳くらいまでだったかな)は寝る前に読み聞かせ

私も子育ての本などを読んだり、先輩ママにアドバイスを頂いたりしながら試行錯誤を繰り返しましたが、上記のようなことは役に立ったのではないかと思っています。もちろんストレスが溜まって声を荒げたこともありますが、それよりもなるべく笑顔でプラスの言葉を使った方が色んなことがスムーズにいきました。

また池谷裕二著『パパは脳研究者』をお勧めします。何気なく見過ごしそうな子供の成長を脳科学者のパパだとこんな風に分析されるのか!ととても勉強になりました。昨年発行されたばかりなので私の子育てには間に合いませんでしたが、小さい子を抱えていらっしゃる方にはいいアドバイスがたくさんあると思います。

最後に10年以上前に某新聞で読んだフレーズを紹介します。確かクリスマスが近づいている頃に子育て中の親向けに書かれた記事でした。

Your child will never tell you what they really want. Because that’s your time.

これを読んだときドキッとしました。でも、きっとそうだろうな、と納得し心に留めたことを覚えています。

とにかく後輩ママ・パパの皆さまが後悔することのないよう楽しんで子育てされることを願っています♪

2018年9月24日

次男の住むブリストル大学の学生寮

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記事を書いた人

グリーン裕美

結婚を機に1997年渡英して以来、フリーランス翻訳・通訳として活躍。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。

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